2013 Fiscal Year Annual Research Report
クラウンエーテル型バナデート配位子を有するランタニド錯体の化学
Project/Area Number |
23550069
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
林 宜仁 金沢大学, 物質化学系, 教授 (10231531)
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Keywords | 無機錯体 / 酸化物配位子 / ポリ酸 / ポリオキソメタレート |
Research Abstract |
ポリリン酸のようにバナジウムの{VO4}四面体が頂点共有で環状構造を形成したクラウンエーテル型環状バナジウムポリオキソアニオンが存在する。この無機酸化物配位子を用いたランタニド錯体の化学を創成し、錯体構造および性質を明らかにした。バナジウム環状配位子はオキソ基を介して金属イオンに配位する。比較的大きなイオン半径を持つLn(III)イオン(Ln = Nd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy)では、{VO4}が9個つながったバナジウムの9員環を配位子とする8配位のランタニド錯体が形成された。9個の{VO4}のうち1個はLnイオンに直接配位していなかった。一方、Er, Tm, Ybでは10個の{VO4}が環状構造を取り、そのうち4個のユニットが直接配位せず、ランタニドの配位環境は6配位であった。イオン半径の減少によりランタニドイオン周辺の{VO4}四面体ユニット間の立体障害が大きくなり、これを解消するために配位数が減少したと考えられる。8配位から6配位構造への変化の中間に位置するHoでは7配位構造となり、配位水を伴う構造をとる。これらの構造は単結晶構造解析により同定した。ランタニドイオンのイオン半径の変化に対して、クラウンエーテル型環状バナデート配位子は、環状無機配位子のねじれ角の調整によって、異なるサイズのイオンに有効な配位子であった。ナノ酸化物としての応用にむけて、反応後や溶液内での構造変化を知るための基礎データとしてEXAFSを収集した。単結晶構造解析を行った粉末サンプルに対し、ランタニドの吸収端を用いてEXAFS構造解析を行い、アセトニトリル溶液のEXAFSデータと比較した。その結果、溶液内での構造保持を確認し、溶液中においても精度の高い結合距離を導くことに成功した。また、NMR測定により酸化物配位子のマクロサイクル環の運動を見いだした。
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Research Products
(9 results)