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2012 Fiscal Year Research-status Report

様々なコア構造を持つ二核鉄ペルオキソ錯体の創製および酸化特異性の解明

Research Project

Project/Area Number 23550071
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

古舘 英樹  金沢大学, 物質化学系, 准教授 (40332663)

Keywords二核鉄ペルオキソ錯体 / 二核化配位子 / X線結晶構造解析 / NRVS測定 / 酸化反応性 / 水素原子引き抜き反応
Research Abstract

本年度取り組んだ課題は下記の通りである。
1) 酸素分子活性化非ヘム二核鉄酵素であるメタンモノオキシゲナーゼやトルエンモノオキシゲナーゼのペルオキソ中間体のモデルとなるオキソ-ペルオキソおよびヒドロキソ-ペルオキソコアを有する二核鉄(III)ペルオキソ錯体のNRVS測定をスタンフォード大学のSolomonグループらとの共同研究により行った.その結果,これらモデル化合物のNRVSデータは,非ヘム二核鉄酵素のペルオキソ中間体の構造情報を抽出するための基準として用いる事ができることが明らかとなった。
2) プロパンジアミン骨格を有する二核化配位子 (Me4-tpdp) のトリフェニル酢酸架橋型二核鉄(III)ペルオキソ錯体の酸化反応性の検討を行った.その結果,78 ~ 92 kcal mol-1 の BDE を持つ 9,10-DHA,fluorene,tetralin,toluene,adamantane などの様々な外部基質に対して酸化能を持ち,速度論的実験や同位体ラベル実験から,これら外部基質との反応は水素引抜き反応で進行する事を明らかにした。
3) キシリルおよびブチル架橋骨格を有する二核化配位子 (Me4-pyxylやMe4-pybu)の bis(μ-hydroxo)二核鉄(II)錯体と酸素分子との反応から、これまでに報告されている酸素活性種とは異なる吸収スペクトルを示す反応中間体の合成に成功した.これらの共鳴ラマンスペクトルによるキャラクタライズは現在進行中であるが,これらの種は、配位子のキシリル基の水酸化やピリジル基のN-脱アルキル化を起こすことを見いだした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

トリフェニル酢酸架橋型二核鉄(III)ペルオキソ錯体の外部基質に対する酸化反応は,水素原子引き抜き反応で進行することが明らかとなった。さらにこれまでに報告されている酸素活性種とは異なる吸収スペクトルを示す反応中間体が,配位子のキシリル基の水酸化やピリジル基のN-脱アルキル化を引き起こすも見出している。また,非ヘム二核鉄酵素のペルオキソ中間体のモデルとなるオキソ-ペルオキソおよびヒドロキソ-ペルオキソコアを有する二核鉄(III)ペルオキソ錯体のNRVSデータは,酵素のペルオキソ中間体の構造情報を抽出するための基準として有用であることがわかった。以上のように本計画はおおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

初年度に構造解析に成功している塩化物イオンを含む二核鉄(III)ペルオキソ錯体の外部基質に対する酸化反応性を速度論的解析やプロダクトアナリシスにより明らかにする。さらにNRVS測定を行ったオキソ-ペルオキソおよびヒドロキソ-ペルオキソコアを有する二核鉄(III)ペルオキソ錯体の外部基質に対する反応性も検討し、二核鉄(III)ペルオキソ錯体のコア構造と酸化反応性の相関を明らかにしてゆく。
また、引き続きこれまでに報告されている酸素活性種とは異なる吸収スペクトルを示す反応中間体のより詳細な分光学的キャラクタライズと結晶化および酸化反応性の検討も行う予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

二核鉄(III)ペルオキソ錯体の合成に必要な配位子合成のために必要な試薬類の購入を計画している。二核鉄(III)ペルオキソ錯体の外部基質に対する酸化反応性を速度論的解析やプロダクトアナリシスにより明らかにするために,外部基質となる試薬や同位体ラベル試薬の購入を計画している。また,これまでに報告されている酸素活性種とは異なる吸収スペクトルを示す反応中間体のより詳細な分光学的キャラクタライズをするために,共鳴ラマンの測定を行う計画であり,そのために必要な同位体ラベル試薬や旅費を支出予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Nuclear Resonance Vibrational Spectroscopy of Peroxo-bridged Biferric Complexes: Structural insight into Peroxy Intermediates of Binuclear Non-heme Iron Enzymes2013

    • Author(s)
      P. Kiyoung, H. Furutachi M. Suzuki, E. I. Solomon et. al
    • Journal Title

      Angew. Chem. Int. Ed.

      Volume: 52 Pages: 1294-1298

    • DOI

      10.1002/anie.201208240

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] カルボン酸架橋を含む二核鉄(III)ペルオキソ錯体の酸化反応性2012

    • Author(s)
      伊藤孝浩 他6名
    • Organizer
      錯体化学会第62回討論会
    • Place of Presentation
      富山大学
    • Year and Date
      20120921-20120923
  • [Presentation] 二核化配位子を含む二核鉄(II)錯体の酸素分子との反応性2012

    • Author(s)
      田崎京佑 他7名
    • Organizer
      錯体化学会第62回討論会
    • Place of Presentation
      富山大学
    • Year and Date
      20120921-20120923
  • [Presentation] 単核鉄(III)過炭酸イオン錯体の酸化反応性2012

    • Author(s)
      津川智博 他4名
    • Organizer
      錯体化学会第62回討論会
    • Place of Presentation
      富山大学
    • Year and Date
      20120921-20120923
  • [Presentation] 塩化物イオンを含む二核鉄(III)ペルオキソ錯体の合成,構造および酸化反応性2012

    • Author(s)
      梶川華子 他6名
    • Organizer
      錯体化学会第62回討論会
    • Place of Presentation
      富山大学
    • Year and Date
      20120921-20120923

URL: 

Published: 2014-07-24  

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