2011 Fiscal Year Research-status Report
5位で連結したビスキノリノール誘導体の錯形成能と分光特性
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23550090
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
金 幸夫 茨城大学, 理学部, 教授 (40186367)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | キノリノール / キレート試薬 / 金属錯体 / 溶媒抽出 |
Research Abstract |
本研究は、5位で連結したビス-8-キノリノール誘導体を新規合成し、それらの錯形成能および分光特性を明らかにし、新規分析試薬としての有用性を示すことを目的とする。そのため、(1) 新規ビスキノリノール誘導体の合成、(2) それらの基本特性、(3) 金属イオンとの錯形成能評価、および(4) 抽出試薬特性評価の4課題を設定し研究を進める。 平成23年度は、連結メチレン鎖数、3、5および7のビスキノリノールの合成法を確立した。8-キノリノールを出発物質とし、その5位にヒドロキシメチル基を導入した後、対応するメチレン鎖数を有するジオールとの反応で、5位で連結したビス-8-キノリノール誘導体を合成できた。生成物はir、NMRおよび元素分析により確認した。収率30-50 %で誘導体を得ることができ、課題1を達成したものと考えている。 課題2については、吸収スペクトルおよびNMRスペクトル測定を、8-キノリノールと比較し詳細に検討した。その結果、いずれの誘導体についても、5位に置換基を導入したことに起因するスペクトルシフトを示したものの、2つのキノリノール環間の相互作用を示すスペクトル変化はみられなかった。これは、ビス体となってもキノリノールユニット自体はモノ体と同様な性質であることを意味している。よって、配位能も8-キノリノール同様、様々の金属イオンと錯形成できることを示しており、次年度で行う錯形成実験に展開できることを確認できた。 以上、平成23年度は課題1および2の一部を行い、当初の研究実施計画に沿い順調に推移し、平成24年度計画に移行できる結果を得たと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の3種類のビスキノリノール誘導体の合成法を確立し、それらの吸収およびNMRスペクトルより、キノリノール環間の相互作用に関する知見得ることができた。これらより、次年度計画を進める準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
新規ビスキノリノール誘導体の合成に成功したので、当初計画の課題3である金属イオンとの錯形成能について検討を始める。Al、Pd、Pt、および希土類を検討候補とする。主に吸収、NMR、およびMSスペクトルより、配位形態、配位数等を評価する。可能であれば単離・結晶化を試み構造解析をする。これら錯形成特性評価から平成25年度予定の溶媒抽出への応用の基本情報を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬類、溶媒類等の消耗品費を中心に研究費を使用する。平成23年度当初、吸光光度計、蛍光光度計等のランプ交換を予定していたが、光強度の減少・不安定化がみられず交換せず23年度を終了し次年度使用とした。24年度中の交換は不可欠と思われるのでこれに充てる。
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