2011 Fiscal Year Research-status Report
テーラーメイド医療の実現に向けた新奇な高精度低労働負荷遺伝子診断システムの開発
Project/Area Number |
23550092
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高橋 透 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30361166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
壹岐 伸彦 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (50282108)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | SNP / キャピラリー電気泳動 / 一塩基変異一本鎖DNA / 塩基 / プロトン解離 / 分離 / 検出 / 判定法 |
Research Abstract |
新規なマルチターゲットSNP検出システムの基盤技術として,核酸塩基のプロトン解離特性の差異を利用するシンプルながら極めて高い分離能を持つ一塩基変異一本鎖DNAのCE分離法を考案した.12塩基長の一本鎖DNAについては,この方法を用いてその12 (4 X 3) 種類の可能なすべての変異パターンで置換した一本鎖DNAとの混合試料の一斉分離が可能であったが,60塩基長程度の一本鎖DNAについては相互分離が達成できない変異パターンが存在することが判った.しかし,ターゲット鎖およびそれらの相補鎖における変異パターンとCE分離系における分離の可否との関係を詳細に検討したところ,ターゲット鎖の変異パターンがCE分離の難しいものであった場合,それらの相補鎖における変異パターンは必ずCE分離可能な変異パターンとなることを見出した.そこで,ターゲット鎖だけでなくそれらの相補鎖を同時にCE分離し,得られたCE電気泳動図パターン(ピークの数)によってSNPの有無の判定を行うというSNP判定法を新たに考案した.すなわち,SNPの疑われるDNA断片(二本鎖)試料に正常な配列を持つDNA断片(二本鎖)を参照として添加してCE分離を行うと,変異の存在しない場合は試料中には計2種類の一本鎖DNAしか存在しないので電気泳動図には2本のピークだけが現れる.一方,変異が存在する場合,試料中には計4種類の一本鎖DNAが存在することになり,これを上記のCE系で分離すると電気泳動図上には3ないしは4本のピークが現れる.このように, CEの電気泳動図パターン(ピークの本数)という明確な情報に基づいてSNPの判定を行うため,本法では原理的に誤判定のリスクがない.さらに,すべての変異パターンに対して全く同一の条件で対応できるため検査に係る労働負荷も少ない.また,本法をN-ras遺伝子断片など既知のSNPの判定に適用した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規SNP判定法の確立,本法をの既知のSNP検出への適用の成功など,当初の計画計画に記した検討事項をクリアできており,研究は順調に進捗していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り,新たに以下の項目について検討する.1.複数塩基変異系の分離の検討 10塩基程度の近接する領域において複数のSNPが現れる例が知られており,本法もこれに対応する必要がある.特に,K-ras遺伝子断片ではガンの発現に関連した二塩基の近接した変異が知られており,これを本系での分離モデルとして検討する.基本的には,新規モディファイアーの導入を軸に分離能を向上するとともに,今年度開発に成功した新規SNP判定を複数塩基変異に対応したものにする必要があり,これら二つの項目について同時に検討を行う.2.PCR処理試料への適用我々が構築しようとしているマルチ一塩基多型分離・検出システムにおいて,実際に分析対象となる試料としてPCR処理試料への対応が不可欠となる.市販品カートリッジ生成カラムの導入やターゲット鎖のみが特異的に増幅されるPCR法の導入など,前処理法の観点からも検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,経費として計上していたサーマルサイクラー,遠心分離器の購入が23年度内に間に合わなかったため,23年度は余剰金が生じた.当初予定では24年度の研究経費の多くは試薬等の研究消耗品の購入に充てられている.そこで,研究使用の計画を変更し,24年度は当初計画に加え,23年度に行えなかったサーマルサイクラー,遠心分離器を行う..
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