2012 Fiscal Year Research-status Report
テーラーメイド医療の実現に向けた新奇な高精度低労働負荷遺伝子診断システムの開発
Project/Area Number |
23550092
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高橋 透 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30361166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
壹岐 伸彦 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (50282108)
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Keywords | キャピラリー電気泳動 / 一塩基多型検出 / ジェノタイピング / 抽出ゲノム / PCR |
Research Abstract |
今年度は,前年度確立した核酸の溶液化学特性を利用する一塩基変異等鎖長一本鎖DNAのCE分離法,およびそのCE分離電気泳動図のピークパターンを利用する新規SNP判定法との組み合わせによるマルチ一塩基多型分離・検出システムを抽出ゲノムなどの実試料へ適用するための検討を行った.まず,70塩基長程度のDNA断片およびその一塩基変異体にPCR処理を行い,そのPCR産物のCE分離の可否を検討した.PCR産物には酵素その他の夾雑物が多く含まれており,これが目的物のピーク近傍にブロードなピークとして現れ妨害となるため,前処理なしに目的のDNA断片およびその一塩基変異体をCE分離することはできなかったが,市販のPCR産物の精製キットによる前処理(共存マトリックスを含むPCR産物からPCR増幅したDNA断片を2本鎖DNAとして取り出す)を行うことにより目的のDNA断片およびその一塩基変異体の明瞭なピークが得られ,かつこれらの相互分離が達成された.さらに,ヒト抽出ゲノム試料を用いて本法によるSNP検出,およびジェノタイピングを検討した.市販品のゲノム抽出キットを用いて,毛髪試料からDNAを抽出したものにPCR処理を行い,ALDH2遺伝子を含む目的領域(84塩基長)を増幅したのち,キットで精製を行った試料を作成した.まずこれに,参照として正常型配列を持つ合成DNA(PCR処理済み)を加えた混合試料のCE分離を試みたところ,ピークの本数(この場合は4本)から判断して,この毛髪試料提供者はALDH2遺伝子に変異(G→A)をもっていることが分かった.また,さらに同様に参照として変異型配列を持つ合成DNA(PCR処理済み)を加えた混合試料のCE分離を行い,先の正常型混合物試料のピークパターンと総合して判断した結果,この毛髪試料提供者は変異型のヘテロ接合型であることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数塩基変異系の分離の検討が未着手ではあるものの,我々が提案しようとしているSNPタイピング法の基礎となる,CE分離系,SNP判定法を既に確立していることに加え,今年度新たに毛髪ゲノム抽出試料(ALDH2遺伝子)のSNP検出,およびジェノタイピングの可能性を見出しており,概ね,研究計画に沿って進捗している
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に,研究計画に沿って研究を進める.ALDH2遺伝子系をモデル系として,本法を数多くの検体(毛髪抽出ゲノム試料)への適用をはかると共に,測定結果を既存の方法のそれと比較することにより,実用的SNPタイピング法としての本法の評価を行う.新たに,合成品K-ras遺伝子断片を用いて複数塩基変異系のCE分離挙動の検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費の使途は,主としてカスタム合成DNA標品,PCR関連試薬(酵素など),各種市販品PCR関連キットなど比較的高額な消耗品の購入に充てる.研究成果発表のための学会参加費用,論文投稿料も合わせて計上する.
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Research Products
(2 results)