2013 Fiscal Year Annual Research Report
高分子電解質のイオン交換体との相互作用の解明と新規検出法の開発
Project/Area Number |
23550093
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯地 昭夫 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60144193)
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Keywords | イオン交換樹脂 / 高分子電解質 / 水晶振動子 / カルボン酸 / ジカルボン酸 / 水素結合 |
Research Abstract |
高分子電解質のモデルとして、カルボン酸およびジカルボン酸による強塩基性陰イオン交換樹脂上でのイオン交換平衡を解析した。カルボン酸の選択性は交換率に依存し、カルボン酸の水和による樹脂の膨潤が架橋によって妨げられるためと結論された。その選択性はアルキル鎖の長さに依存して高くなり、交換容量の低い樹脂ほどその傾向は顕著であった。一方、ジカルボン酸の一水素イオンとしての選択性は、交換容量が低いと一定であるが、高いと60%以上で急に増加することが明らかになり、相補的な分子間水素結合の生成が確認された。更に、コハク酸では分子内水素結合の生成も確認された。これらの成果はInd. Eng. Chem. Res.に発表した。 数種類のBr型強塩基性陰イオン交換樹脂と異なる分子量のポリアクリル酸(PA)との間の相互作用を、いくつかの測定法を組み合わせて評価した。4.5KDaのPAの場合には単純なイオン交換だけが起こるのに対して、25kDaあるいは250kDaのように分子量が増加すると、樹脂表面で僅かに交換するのみであることが分かった。一方、酸性条件下ではプロトン付加した状態で樹脂内部に侵入することが分かった。これらの成果は、現在投稿中である。 この他に、これまでほとんど研究のない弱塩基性陰イオン交換樹脂に関する選択係数の評価を行い、その特性を定量的に評価した。また、陰イオン交換樹脂の選択性は一般に親水性の高いイオンを除けば交換率に依存しないことを明らかにした。こちらは投稿準備中である。 更に、表面をPDOTで化学修飾したQCM上におけるイオン交換による周波数変化を観測したところ、単純な陰イオンの交換については、質量の差から期待される変化が迅速に起こることを確認した。これに対して、ポリアクリル酸の場合には、変化が遅く、高濃度では質量の差に反する挙動も観測され、その計測には適さないことが明らかになった。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article]2014
Author(s)
A. Yuchi
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Journal Title
Anal. Sci
Volume: 30
Pages: 51-57
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article]2013
Author(s)
A. Inui, C. Hama, T. Katsuragawa, S. Iwata, and A. Yuchi
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Journal Title
Ind. Eng. Chem. Res
Volume: 52
Pages: 16880-16886
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation]2013
Author(s)
八木佑馬・中根大輔・安井孝志・湯地昭夫
Organizer
第32回溶媒抽出討論会
Place of Presentation
名古屋大学ES総合館
Year and Date
20131122-23
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[Presentation] 山本健二・湯地昭夫2013
Author(s)
樹脂上における陰イオン交換の選択係数の再評価
Organizer
第29回日本イオン交換研究発表会
Place of Presentation
東北大学青葉山キャンパス
Year and Date
20131017-20131018
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[Presentation]2013
Author(s)
今枝宏徳・湯地昭夫
Organizer
第29回日本イオン交換研究発表会
Place of Presentation
東北大学青葉山キャンパス
Year and Date
20131017-18
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[Presentation]2013
Author(s)
八木佑馬・中根大輔・安井孝志・湯地昭夫
Organizer
第29回日本イオン交換研究発表会
Place of Presentation
東北大学青葉山キャンパス
Year and Date
20131017-18
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[Presentation]2013
Author(s)
八木佑馬・湯地昭夫
Organizer
日本分析化学会第62年会
Place of Presentation
近畿大学東大阪キャンパス
Year and Date
20130910-12
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[Presentation]2013
Author(s)
山本健二・湯地昭夫
Organizer
日本分析化学会第62年会
Place of Presentation
近畿大学東大阪キャンパス
Year and Date
20130910-12
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[Presentation]2013
Author(s)
今枝宏徳・湯地昭夫
Organizer
第32回分析化学中部夏期セミナー
Place of Presentation
休暇村能登千里浜
Year and Date
20130830-31
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[Presentation]2013
Author(s)
土井拓也・八木佑馬・湯地昭夫
Organizer
第32回分析化学中部夏期セミナー
Place of Presentation
休暇村能登千里浜
Year and Date
20130830-31
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