2011 Fiscal Year Research-status Report
キャピラリーチューブ内流動溶媒の特異的分配挙動に基づく新規分離手法の開発
Project/Area Number |
23550106
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
塚越 一彦 同志社大学, 理工学部, 教授 (60227361)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | キャピラリーチューブ / クロマトグラフィー / 水-親水性/疎水性有機溶媒混合キャリア溶液 / 相図 / 溶媒分子の分配 / 管径方向分配現象 / 管径方向分配クロマトグラフィー |
Research Abstract |
申請者は、(1)未処理あるいは未修飾のオープンキャピラリーチューブ内に、(2)水-親水性/疎水性有機溶媒混合キャリア溶液を、(3)層流条件下で送液することにより、溶質分子の分離が達成される新しいキャピラリークロマトグラフィーを提案した。溶質分子の分離は、キャピラリーチューブ内を流動する油水混合溶媒の管径方向への特異的分配挙動に基づくものと考えられる。よって、本法を「管径方向分配クロマトグラフィー」と呼ぶ。 以下に、研究実績の概要を述べる。(1)蛍光顕微鏡-CCDカメラによる蛍光可視化画像の観察:蛍光顕微鏡-CCDカメラを用いて、マイクロリアクタあるいはキャピラリーチューブ内の蛍光画像を観察した。水-親水性/疎水性有機溶媒混合キャリア溶液に親水性、疎水性の蛍光色素を溶解し、層流条件下で送液した。蛍光色素が管内で分配するようすを、流速、管径、実行長等を変化させながら、調べた。流速を変化させた場合の管径方向への分配の様子と「管径方向分配クロマトグラフィー」との関係を議論した。(2) 水-親水性/疎水性有機溶媒混合キャリア溶液の三成分系における相図の作成:現在、水-親水性/疎水性有機溶媒混合キャリア溶液として、主に水-アセトニトリル-酢酸エチル混合液を使っている。水-アセトニトリル-酢酸エチル三成分系における相図を作成した。相図中には、均一溶液(一相)と不均一溶液(二相)の境界線が存在した。均一溶液で、境界線に近い領域の水-アセトニトリル-酢酸エチルの組成比を持つ混合溶液をキャリア溶液に使うことで、「管径方向分配クロマトグラフィー」が達成されることがわかった。他の有機溶媒についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キャピラリーチューブ内を流動する油水混合溶媒の管径方向への特異的分配挙動を再現性良く蛍光画像で観察でき、それに基づきクロマト分離の条件が明らかになってきたから。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、低分子の有機化合物を中心に分析し、「管径方向分配クロマトグラフィー」の分離性能を調べている。24年度には、さらなる実験、理論面からの考察を深め、分析対象物の拡張を検討する。有機化合物の他に、アミノ酸、タンパク質、ヌクレオシド、DNA、糖質、金属イオン,金属錯体,ヘムタンパク質,光学異性体等を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
キャピラリーチューブだけではなく、マイクロチップの試作、購入を計画している。
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Research Products
(3 results)