2012 Fiscal Year Research-status Report
CE法を中心としたミクロ分析系による医薬品の品質物性の高速精密評価
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23550110
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
西 博行 安田女子大学, 薬学部, 教授 (30516852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永松 久実 安田女子大学, 薬学部, 助手 (80614057)
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Keywords | 医薬品 / UHPLC / キャリラリー電気泳動 / エナンチオマー / シクロデキストリン |
Research Abstract |
本研究では、従来のHPLC法(充てん剤5μm、カラム長15~25cm)を中心とした方法にかわり、CE法、あるいはより微小な充てん剤を用いるUHPLC法による、いわゆるミクロな系を用いた高性能な高速・精密な品質・物性評価法の開発を目的とする。 CE法では、前年度に引き続き、エナンチオマーの分離法について検討した。キラルセレクターとして、新たにシクロデキストリン(CD)にイオン性置換基が導入された硫酸化CD(S-CD)に着目し、S-α-CD、S-β-CD及びS-γ-CDの3種類につき、CEの泳動液に1%添加して、医薬品20種類(ラセミ体)に対し、光学識別の検討を行った。その結果、β及びγタイプのものが光学認識に優れていることが分かり、デノパミンやトリメトキノールが同時にエナンチオマー分離できることが分かった。 UHPLC法による医薬品の迅速・高性能な品質・物性評価法の開発については、コアシェル型カラムに着目し、検討を行った。総合感冒薬類6種類及び抗炎症薬6種類につき、検討を行ったところ、いずれのグループも約5分で一斉分離可能である条件を見出した。全多孔性UHPLC用充てん剤では、カラム圧が高く(流速1mL/minで~400kg/cm2)て使用し難かったメタノールも、このコアシェル型カラムでは低いカラム圧(約200kg/cm2)で使用できることが分かった。成果はBMAS2012で発表した。 更に高性能カラムとして充てん剤粒子径が3μmである逆相UHPLC用キラルカラムによる光学異性体分離法の開発について検討を行った。対象としてNSAIDs5種類のラセミ体の分離につき、4種類のカラムで検討したところ、ケトプロフェンを除き、いずれかのカラムでエナンチオマー分離されることが分かった。ナプロキセンにつき、条件の最適化を行い、製剤分析に応用した。結果は、第72回分析化学討論会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ミクロな分析系として、キャピラリー管を用いるキャピラリー電気泳動(CE)法と、微小な充てん剤(2μm)及び短いカラムを用いるUHPLC法を採用し、2つの手法を用いて、医薬品の迅速・精密な品質・物性評価法の開発し、実分析へ適用することを目的としている。 UHPLC法による手法の開発に関しては、コアシェル型カラムに着目した検討が進捗し、実用化を睨んで、総合感冒薬類、NSAIDs、また、ジルチアゼムについての分析法を開発できた。また、新たに逆相UHPLC法カラムとして3μm充てん剤を検討し、高性能な迅速エナンチオマー分離が達成できた。実製剤への応用・適応もでき、UHPLC法での検討は、概ね、あるいは計画を上回る進捗であった。 一方、CE法による手法の開発に関しては、昨年度設置したレーザー蛍光検出器に一時期不具合がおこり使用できなかったことにより、当初の交付申請書記載の計画であったバイオ医薬品の糖鎖、あるいはその基礎としてのD-アミノ酸の高感度エナンチオマー評価法の検討が進捗しなかった。そこで、通常のUV検出によるエナンチオマー分離法の開発に変更し検討を進めた。なお、CE法による検討では、対象医薬品を当初のバイオ医薬品も含むから医薬品中心に変更した。 以上、UHPLC法での検討成果とCE法での検討成果をあわせると、CE法で若干遅れたが、概ね順調に進捗しているものと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
UHPLC法では、本年度検討を行ったコアシェル型のUHPLC法カラムを用いる医薬品迅速・分離分析法の開発とその応用について、更に検討を進める。具体的には、総合感冒薬類と抗炎症薬NSAIDsを合わせた20種類程度の薬物の一斉迅速分離分析法を開発し、製剤や実試料に応用する。また、適用の拡大として水溶性ビタミン類、生薬成分、医療用医薬品の定量や純度試験などにつき、迅速高性能分析法を開発し、実用化を行う。 CE法では、本年度に引き続き、硫酸化CDをキラルセレクターとする医薬品のエナンチオマー分離法について検討を進める。なお、レーザー蛍光検出器を用いる高感度一斉分離分析法については、エナンチオマー分離分析法の開発に引き続いて検討する。 なお、次年度は最終年度であるため、これまでに得られた成果のうち、実用化に近い、あるいは、即利用できる試験法の開発につき、優先して研究を行う。すなわち、コアシェル型UHPLC法カラムを用いる医薬品迅速・分離分析法の開発について、ウェイト配分を行い、実用化分析法の開発を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は最終年度であり、研究費(直接経費)は50万円である。これまでの成果を公表するために、論文投稿、あるいは学会発表するための旅費(2回)として20万円、UHPLC法で検討に用いるコアシェル型のカラム(2本)の購入費として15万円、CE検討用の試薬・UHPLC法で用いる移動相溶媒等の購入費として15万円の使用を計画している。
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Research Products
(5 results)