2012 Fiscal Year Research-status Report
ホウ素-水素結合活性化に基づく直截的ホウ素基導入反応の反応制御とその応用
Project/Area Number |
23550113
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
村田 美樹 北見工業大学, 工学部, 准教授 (40271754)
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Keywords | 合成化学 / 遷移金属触媒 / カップリング反応 / 芳香族ホウ素化合物 |
Research Abstract |
ヒドロボランによる炭素‐ハロゲンおよび炭素‐水素結合のホウ素化について、以下のように基質の適用範囲を格段に向上させた。 1.ヘキシレングリコールボランによる芳香族臭化物のニッケル触媒ホウ素化を達成した。NiCl2(dppp)錯体にdppfをさらに添加し系中で調製した錯体が良好な結果を与える。電子求引基を有する基質にも適用できるなど基質適用範囲が極めて広く、従来利用されているパラジウム触媒に比べて合成化学的な有用性が高い。また、この反応機構を錯体の単離および量論反応と、密度汎関数法により詳細に検討し、触媒サイクルを明らかにした。0価ニッケル種に芳香族ハロゲン化物が酸化的付加し、その後、ヒドロボランとのσ結合メタセシスにより、炭素‐ホウ素結合が形成する。 2.ベンゾジアザボロールをホウ素化剤として用いた芳香族ヨウ化物のパラジウム触媒ホウ素化を検討し、パラジウム触媒ホウ素化においてベンゾジアザボロールはジアルコキシボランよりも官能基許容性に優れたホウ素化剤となることを明らかにした。ホルミル基、ヒドロキシ基、アミノ基などを保護することなくホウ素化が進行し、対応する芳香族ホウ素化合物が良好な収率で得られる。 3.芳香族アルジミン類のオルト位の炭素‐水素結合を選択的にホウ素化する反応を見出した。sp2窒素原子への配位を鍵とするこの触媒的ホウ素化の反応機構を密度汎関数法により詳細に検討し、触媒サイクルを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒドロボランによる炭素ーハロゲン結合のホウ素化について、目的の基質適用範囲の拡大に成功し、合成化学的な実用性を向上させた。 また、炭素ー水素結合のホウ素化についても、オルト位選択的ホウ素化の新しい触媒系を見出している。詳細な反応機構を含め明らかにしており、得られた知見を基に新たな展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒドロボランによる炭素ー水素結合のホウ素化について、より広範な基質に対して、触媒配位子などの反応条件を徹底的にスクリーニングし、反応の選択性に影響を及ぼす因子を調査する。また、炭素ーハロゲンおよび炭素ー水素結合のホウ素化の反応機構について、密度汎関数法による計算化学的なアプローチにより詳細に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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