2011 Fiscal Year Research-status Report
有機分子アリル化剤の開発を基軸とする革新的不斉有機分子触媒反応の開拓
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23550114
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
椴山 儀恵 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80447127)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 不斉合成 / 有機分子触媒 / アリル化 / ブレンステッド酸 / 環境調和 |
Research Abstract |
光学活性物質の効率的供給は、科学全体の発展のために必要不可欠な最重要課題のひとつである。近年、この課題に対し工業化も視野に入れた環境調和性の高い分子変換プロセスの確立が求められている。現在、不斉有機触媒反応は、光学活性物質を効率的に供給するひとつの方法論として広く認識されるようになってきたが、一方で、その適用可能反応はいまだに限定されている。本研究では、金属アリル化剤の代替となり得る有機分子アリル化剤を設計・開発を基盤として、アリル化反応のみならず不斉有機分子触媒反応の限界を打破する革新的不斉有機分子触媒反応の開拓を試みている。本年は特に、金属アリル化剤に代替する有機分子アリル化剤の設計ならびに位置特異的アリル化反応の開発を行なった。 β位にジアルキル基を有するクロチルホモアリルアミンと芳香族アルデヒドからアルドイミンを調整して、反応出発基質として用いた。触媒量のカンファスルホン酸存在下、1,2-ジクロロエタン溶媒中、マイクロ波照射下100~150℃で反応を行なったところ、1,3-転位反応が円滑に進行し、加水分解の後、2-モノメチル-4,4-ジアルキルホモアリルアミンが高収率で得られた。 一方、α位にアリール基、β位にジアルキル基を有するホモアリルアミンを出発反応基質として用いた場合は、アルジミンへと変換することなく、トリフルオロ酢酸存在下、1,2-ジクロロエタン溶媒中、マイクロ波照射下100~150℃で反応を行なうだけで、1-モノアリール-4,4-ジアルキルホモアリルアミンが高収率で得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究の最終課題は位置選択的な光学活性多置換ホモアリルアミンの合成にある。現在までの研究により、最終課題の基盤となる位置選択的な三置換ホモアリルアミンの合成法を確立することができた。具体的には、設計した転位反応により、ブレンステッド酸存在下、1-モノアリール-4,4-ジアルキルホモアリルアミンと2-モノアルキル-4,4-ジアルキルホモアリルアミンが高収率で得られた。本研究で合成が可能となったホモアリルアミンは、金属アリル化剤を用いるイミン類へのアリル化反応などの従来法では合成することが困難であったオレフィン末端に二つの置換基を有するホモアリルアミンである。いずれのホモアリルアミンも1位あるいは2位に不斉炭素を有しており、今後、キラルブレンステッド酸を用いる触媒的不斉反応により、光学活性ホモアリルアミン合成への展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに開発した「1,3-転位反応による2-モノアルキル-4,4-ジアルキルホモアリルアミン合成反応」と「1,3-アルキル移動反応による1-モノアリール-4,4-ジアルキルホモアリルアミン合成反応」のキラルブレンステッド酸による不斉触媒化を試みる。研究を遂行するにあたり、(1)不斉有機分子触媒、特に、キラルブレンステッド酸の設計・開発、(2)エナンチオ選択的反応の検討が主な課題となる。 具体的には、既に当研究室で開発したキラルブレンステッド酸を触媒として用いながら初期検討を行い、得られるエナンチオ選択性を精査しながら触媒の設計を再考する。最終的には、開発した転位反応において、高収率かつ高エナンチオ選択性の獲得を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画を項目別に下記に示す。・合成用試薬ならびに合成用溶媒の購入:反応基質、本反応の試行のため。・低温槽あるいはその代替品であるクライオクールの購入:本反応における低温の反応温度を制御するため。
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