2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子アリル化剤の開発を基軸とする革新的不斉有機分子触媒反応の開拓
Project/Area Number |
23550114
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
椴山 儀恵 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80447127)
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Keywords | 不斉合成 / 有機分子触媒 / アリル化 / ブレンステッド酸 / 環境調和 |
Research Abstract |
本年は、昨年度までに得られた知見をもとに、種々、検討を行った。 ・2,4-置換ホモアリルアミン合成を目的とするアルドイミンの1,3-転位反応:本年度は、昨年度に見出した新規1,3-転位反応の反応機構解明に向けて、光学活性な反応基質の合成と不斉転写反応ならびに交差反応実験を行った。不斉転写反応では、オレフィンの幾何異性がE体とZ体の反応基質を合成して検討を行った。その結果、絶対配置がRでE体の反応基質の場合、反応は70度48時間で円滑に進行し、完全な不斉転写率で絶対配置S、E体の生成物を与えた。Z体の反応基質の場合、反応はE体に比べて極めて遅く5日間の反応を行った。其の結果、低収率ではあったが良好な不斉転写率で転位生成物が得られ絶対配置R、E体の生成物を与えた。また、交差反応実験として、はじめに反応基質のイミンを用いた交差実験を行った。その結果、予想に反し、正常転位体と交差転位体の両方が得られることが分かった。この結果をもとに、転位後の正常転位体のみを用いて交差実験を行った。その結果、反応は正常転位体と交差転位体の両方を与えた。以上の不斉転写反応ならびに交差反応の実験結果から、本反応は、結合開裂と結合生成が協奏的に進行したと考えられるが、反応完了後に結合開裂と再結合を繰り返しても極端な不斉転写率の低下を伴わない極めて特異な反応であることが分かった。 ・1,4-置換ホモアリルアミン合成を目的とする1,2,2-置換アミノブテンの1,3-アルキル移動反応:昨年度の知見をもとに本年度は、不斉転写反応の適用範囲について検討を行った。その結果、1位がアリール置換基の場合は概ね良好な不斉転写率を与えた。引き続き、不斉転写反応の適用範囲の拡充に向け検討を進める予定である。
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