2013 Fiscal Year Annual Research Report
0価ルテニウム錯体を用いた酸化的カップリング反応の開発とその選択性発現機構の解明
Project/Area Number |
23550117
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
平野 雅文 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70251585)
|
Keywords | 酸化的カップリング / ルテニウム / 鎖状交差二量化 / 共役化合物 / 置換アルケン / 共役カルボニル化合物 |
Research Abstract |
平成25年度においてはナフタレンを持つ0価ルテニウム錯体を用いて選択性発現機構の解明を中心に研究を行った。すなわち、ナフタレンの解離に伴って発生する6電子反応場に共役化合物が4電子配位し、置換アルケンが2電子配位するために選択的な交差二量化を実現していることを実証した。また、共役ジエンの末端にメチル基などのアルキル置換基が存在する場合には、置換基を有するジエン炭素のHOMOが増大するため、配位した置換アルケンが錯体上で求電子的に反応するため、分岐型鎖状交差二量化体が優先的に生成した。これらの知見は当初予期していなかった共役ジエンと置換アルケン間の不斉鎖状二量化へと展開されている。また、置換アルケンとしては、1置換アルケンもしくは1,2-二置換アルケンに適用可能であった。 研究期間全体を通じて、本課題研究では、従来広く知られていたアルケンの位置選択的二量化反応が、酸化的カップリング機構で進行している証拠を中間体の単結晶X線構造解析を含めて実証し、従来広く知られていたヒドリド挿入機構やC-H結合活性化機構とは異なる反応機構であることを解明した。これまでに、シクロペンタジエニル基やペンタメチルシクロペンタジエニル基を持つ2価ルテニウムでは酸化的カップリング機構による二量化は推定されていたが、0価ルテニウムを用いた反応としては初めての例となる。また、基質の配位数の違いに基づき、触媒が基質を識別できるため、基質選択的な交差二量化を実現し、はじめてのジアステレオ選択的鎖状交差二量化を実現した。また、さらにこれらの知見を活かして不斉配位子を持つ新規錯体を合成し、世界初の置換アルケン間のエナンチオ選択的鎖状交差二量化を実現し、JST先導的物質変換領域における課題採択へとつながった。
|
Research Products
(16 results)