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2011 Fiscal Year Research-status Report

ケイ素の転位によるビニル銅の生成を鍵とするエノールシリルエーテルの立体選択的合成

Research Project

Project/Area Number 23550118
Research InstitutionTokyo University of Agriculture and Technology

Principal Investigator

坪内 彰  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40272637)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsケイ素転位 / エノールシリルエーテル / アルケニル銅 / シリカート / 三成分連結反応 / 銅エノラート / 共役付加
Research Abstract

平成23年度は、ケイ素の[1,2]転位を鍵とするワンポット三成分連結反応による完全なレジオおよびジアステレオ選択的なα,β-二置換エノールシリルエーテルの新規合成法について研究を行った。 エノールシリルエーテル構造を構築するための基本連結ユニットとして、エノン構造とBrook転位に必要なケイ素置換基を併せ持つα,β-不飽和アシルシランを用い、これにGilman試薬あるいはGrignard試薬を作用させた後tert-BuOCu存在下で有機ハロゲン化物を順次反応させることで二置換エノールシリルエーテルが立体選択的に合成できることを見出した。反応は、シリルエノンへの有機金属化合物の共役付加による銅エノラートの生成と、引き続くケイ素原子のエノラート酸素への転位を経て進行すると考えられる。転位により生成したエノールシリルエーテル構造をもつアルケニル銅は有機ハロゲン化物と反応し立体選択的にエノールシリルエーテルを与えた。本反応に適用できる有機ハロゲン化物はハロゲン化アリルやベンジルといった反応活性な化合物に限定されるが、有機金属化合物にはGrignard試薬を利用することが可能であるため、γ位に様々なアルキル基の導入が可能である。従って、連結成分を適切に選択することで様々な置換基をαおよびγ位にもつエノールシリルエーテルを多成分連結反応により高収率かつ高立体選択的に合成することが可能となった。 本反応は従来法とは異なる概念に基づいた新手法であり、ケトンの脱プロトン化では位置及び立体選択的にエノラートへ変換することが困難な場合でも、本手法を用いることで相当するエノールシリルエーテルが選択的に合成できるため、有機合成上有用と考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は、エノラート酸素へのケイ素原子のBrook転位によるアルケニル銅の生成を鍵反応として利用し、立体制御法に環状シリカートの形成を用いる新しい方法論を導入することで、多成分連結反応による多置換エノールシリルエーテルの立体選択的合成法を開発することである。 今年度は、連結成分としてα,β-不飽和アシルシラン、有機金属試薬、有機ハロゲン化物を用いた三成分連結反応による完全なレジオおよびジアステレオ選択的なα,β-二置換エノールシリルエーテルの新規合成法を開発できた。これにより、多成分連結反応にsp2炭素からエノラート酸素へのBrook転位を組み込むことが可能であることを実証すると共に、鍵となる転位反応を効率的に進行させるための因子についても一部明らかにした。また、今年度の成果は、転位の中間体である嵩高い5配位環状シリカートの立体因子に基づくエノラートの立体制御が、α,β-二置換の合成において極めて有効であることを示しており、異なる置換様式や全置換エノールシリルエーテルの立体制御へ展開できる可能性を開いた。 本反応を利用することで、対応するケトンのエノラート化を利用する従来法では合成が困難であるβ,γ-不飽和ケトンのエノールシリルエーテルの位置及び立体選択的な合成を達成できた。

Strategy for Future Research Activity

今年度に得られた成果を基に、異なる置換様式や全置換エノールシリルエーテルの位置および立体選択的合成法へ多成分連結反応を拡張する。これにより、各カップリング成分から全ての置換基を任意の位置に厳密に導入可能な革新的な合成法を確立する。そのために、鍵となるケイ素転位を[1,2]転位のみならず[1,3]および[1,4]転位へ拡張すると共に反応に利用できる連結成分の探索を行う。 具体的には、1)含ケイ素有機金属、α,β-不飽和ケトン、有機ハロゲン化物(親電子試薬)の三成分連結反応によるエノールシリルエーテルの立体選択的合成法、2)シリル銅あるいは含ケイ素有機銅化合物、ケテン、有機ハロゲン化物の三成分連結反応による非対称ケトンの位置選択的なエノールシリルエーテルの調製法、3)含ケイ素有機金属、酸塩化物、有機ハロゲン化物の三成分連結反応による立体選択的三置換エノールシリルエーテルの合成、などを検討する予定である。更に転位反応により生成するエノールシリルエーテル部位を持つアルケニル銅の反応性を解明し、親電子試薬の適用範囲を有機ハロゲン化物からケトンやエノンへ拡張し、官能基化エノールシリルエーテルの合成を目指す。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究を開始した当初、検討していたケイ素の[1,2]転位を鍵としたシリル銅あるいは含ケイ素有機銅化合物、ケテン、有機ハロゲン化物を用いた三成分連結反応では、目的とするエノールシリルエーテルが効率良く合成できないことか判明した。そこで連結成分の再検討を行った事により、計画した通りには研究が進行しなかったため、「次年度使用額」が発生した。 次年度は当該研究費及び、翌年度以降に請求する研究費と合わせ、新規な多成分連結反応を設計し、その立体選択性を検証すると共に成果の発表を行う。そのために以下に述べる計画に従い経費を使用する。消耗品費:出発物質の合成のために、各種有機化合物、合成試薬を購入する。反応溶媒、抽出溶媒、またクロマトグラフィーによる生成物の単離精製のために、THF、DMF、塩化メチレン、エーテル、酢酸エチル、ヘキサンなどの溶媒を購入する。生成物の同定、構造解析で核磁気共鳴装置を使用する際に必要な重クロロホルム、重ベンゼン、重ジメチルホルムアミド、重THFなどの重溶媒を必要に応じて購入する。出発物質の合成、各種反応を行うためのガラス器具、出発物質・反応生成物の単離精製のためのカラムおよび薄層クロマト用の吸着剤としてシリカゲルおよびアルミナゲルを購入するする。旅費:研究代表者および協力者が成果を学会で発表するために、出張経費(交通費・宿泊費)を使用する。その他:構造決定にはNMRスペクトルを使用するため、装置の利用料を計上する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 銅(I)アルコキシドの分子内配位により促進されるアルケニルシランとハロゲン化アルキルとのクロスカップリング2012

    • Author(s)
      村松大輔
    • Organizer
      日本化学会 第92 春季年会
    • Place of Presentation
      慶応大学日吉・矢上キャンパス(神奈川)
    • Year and Date
      2012年3月26日
  • [Presentation] 二価チタノセンにより促進されるβ-シリルチオアセタールとアルキンの反応によるジエニルシランの合成2012

    • Author(s)
      森 絢子
    • Organizer
      日本化学会 第92 春季年会
    • Place of Presentation
      慶応大学日吉・矢上キャンパス(神奈川)
    • Year and Date
      2012年3月26日
  • [Presentation] ケイ素転位を鍵とするα,β-不飽和アシルシラン、有機金属試薬、有機ハロゲン化物の三成分連結反応によるエノールシリルエーテルの立体選択合成2011

    • Author(s)
      佐々木なつき
    • Organizer
      第58回 有機金属化学討論会
    • Place of Presentation
      名古屋大学東山キャンパス(愛知)
    • Year and Date
      2011年9月8日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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