2013 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素の転位によるビニル銅の生成を鍵とするエノールシリルエーテルの立体選択的合成
Project/Area Number |
23550118
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
坪内 彰 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40272637)
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Keywords | ケイ素転位 / エノールシリルエーテル / シリカート / 三成分連結反応 / クロスカップリング / 触媒反応 / 有機銅 |
Research Abstract |
本研究では、エノラート酸素へのケイ素原子のBrook転位によるアルケニル銅の生成を鍵反応として利用し、立体制御法に環状シリカートの形成を用いる新しい方法論を導入することで、多成分連結反応による立体選択的合成法を開発した。 平成25年度は、ケイ素転位を鍵とする多成分連結反応を、異なる置換様式や全置換エノールシリルエーテルの位置および立体選択的合成法へ拡張しようと試みた。そのために、これまで検討してきたケイ素の[1,2]および[1,5]転位を[1,3]および[1,4]転位へ拡張すると共に、反応に利用できる連結成分の探索を行った。具体的には、1)シリル銅あるいは含ケイ素有機金属試薬、ケテン、有機ハロ ゲン化物の三成分連結反応による非対称ケトンの位置選択的なエノールシリルエーテルの調製法、2)含ケイ素有機金属試薬、酸塩化物、有機ハロゲン化物の三成分連結反応による三置換エノールシリルエーテルの合成、などを検討した。その結果、共役エノン、転位の鍵となるケイ素原子が置換した有機金属試薬、および有機ハロゲン化物の3成分連結反応では、第一段階の共役付加までは問題なく進行することを確認し、[1,5]転位への拡張のための足がかりを確立できたが、共役付加により生成したケイ素置換エノラートの[1,5] 転位が進行するまでには至らなかった。 一方、本研究過程で、分子内配位による環状シリカートの形成に基づくケイ素-炭素結合を活性化することで、フッ素活性化剤を必要としない銅(I)塩によるシラン類の触媒的アルキル化反応を新たに見出した。これにより、従来極めて困難とされていたsp2炭素ーsp3炭素間の檜山タイプのクロスカップリング反応を実現した。
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Research Products
(4 results)