2012 Fiscal Year Research-status Report
水素自動移動プロセスに基づく革新的有機合成反応の開発
Project/Area Number |
23550122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 健之 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (10262924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周 大揚 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00324848)
朝野 芳織 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00311762)
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Keywords | 不斉合成 / イリジウム / 水素自動移動プロセス / 酸化反応 / 環境調和 / メソジオール / タンデム / ワンポットプロセス |
Research Abstract |
本研究では水素移動反応と炭素-炭素結合生成反応の連携によるカスケード反応の開発を目指す。水素移動反応による酸化、還元、アルドール反応などの炭素-炭素結合生成反応は素反応として基本的かつ合成化学的に最重要な反応であり、それぞれの触媒サイクルをいかに制御しながら連携できるかが、本研究のポイントとなる。この技術は環境調和型反応として実用性にも優れ、キラルテクノロジーとしても魅力的である。すなわち、本研究により、数多くの不斉中心が一挙に構築されれば、触媒的不斉合成法の合成的有用性が大きく広がる。医薬品など有用化合物には多数の不斉中心を含むものも多く、本研究が目指す不斉合成法は将来の創薬研究に対しても有効な手法となる。このように、水素移動反応と炭素-炭素結合生成過程を含む不斉カスケード反応を開発できれば、学術的に興味がもたれるばかりでなく、合成化学的応用が広く期待できる。我々は既にキラルイリジウム錯体触媒を用いるジオールの非対称化反応を報告している。今回、本触媒を用いるメソ第二級ジオールと芳香族アルデヒドとの不斉タンデムカップリング反応を計画した。インダンジオールと各種芳香族アルデヒドのカップリング反応を検討したところ、単一ジアステレオマーが90%ee以上で得られることを見出した。本反応についての反応機構を調べるためにReactIRを用い反応を追跡したところ中間体のエノンの生成が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キラルイリジウム錯体触媒を用いるメソ第二級ジオールと芳香族アルデヒドとの不斉タンデムカップリング反応を検討した。インダンジオールとベンズアルデヒドのカップリング反応においても90%ee以上の高い不斉収率で反応が進行することを見出した。本反応は単一ジアステレオマーを与えた。反応中間体を補足するためReactIRを用い、反応の動的挙動を追ったところ、エノン中間体を観測することに成功した。反応機構に関する知見も得られ、おおむね順調に研究は進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
キラルイリジウム錯体触媒を用いるメソ第二級ジオールとアルデヒドとの不斉タンデムカップリング反応を更に進展すべく、芳香族アルデヒド以外のアルデヒドの検討をする。本反応を用い、天然物合成などへの応用にも展開する。具体的にはノウゼンカズラ科の落葉高木キササゲから単利されるcatalponolの触媒的不斉合成を検討する。本反応においてはテトラヒドロナフタレンジオールと3-メチル-2-ブテナールとの不斉タンデムカップリング反応を基質に用いる。この場合中間体がこれまでのエノンからジエノンになるため、還元過程での位置選択性の制御も難しくなる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の遂行に必要な大型化学研究設備は全て揃っているため、研究経費の大部分は消耗品に使用される。すなわち光学活性配位子およびその合成原料、金属錯体などの薬品類、反応および分析に必要なガラス器具、各種溶媒類に使われる。その他、成果発表、研究打ち合わせのための旅費、論文投稿に掛かる経費が使用される。
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Research Products
(4 results)