2012 Fiscal Year Research-status Report
高効率触媒反応を目指した強い配位力を有する超電子不足な不斉ホスフィン配位子の開発
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23550124
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
是永 敏伸 岩手大学, 工学部, 准教授 (70335579)
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Keywords | ホスフィン / 電子不足配位子 / 触媒活性 |
Research Abstract |
本年度は、高度に電子不足であるが嵩高くないBFPyホスフィンのバリエーションを増やすこと、および、さらなる触媒反応への適用を検討した。 新たなBFPyホスフィンとして、フェロセン誘導体であるDPPFタイプやザントホスタイプのアキラルなBFPyホスフィンの合成を行った。これらの骨格を有するジホスフィン配位子は金属と大きい配位挟角で結合し、ある種の触媒反応を加速することが知られており、そうした機能を持つ新たなBFPyホスフィンの開発に成功した。 触媒反応への適用としては、パラジウム/(BFPy)3Pホスフィンを用いた鈴木-宮浦カップリングを行った。反応基質としてパラブロモヨードベンゼンを用いてフェニルボロン酸とのカップリングを行った。この反応基質には臭素の根元の炭素とヨウ素の根元の炭素と二つのカップリングの反応点を有するが、パラジウム/(BFPy)3Pホスフィンでは臭素の根元の炭素へのカップリングがきわめて遅く、ヨウ素の根元の炭素への反応のみが起こると考えられ、位置選択的な鈴木-宮浦カップリングが起こると考えれた。実際に反応を行ってみると、ヨウ素の根元の炭素へのカップリングが優先的に起こったが、少量ではあるが、臭素の根元の炭素へのカップリングも見られ、従来のパラジウム/ホスフィン触媒よりもわずかによい選択性になった程度であった。また触媒活性も従来触媒を大きく超えるものではなく、わずかな向上が見られたのみであり、選択性・触媒活性ともに期待していたほどの向上は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二種類の新規なBFPyホスフィンの合成に成功したため、BFPyホスフィンのバリエーションを増やすことに関しては、順調に進行している。 触媒反応への展開は、鈴木-宮浦カップリングにおいて高い触媒活性や選択性を示す事が見いだされた。しかし、従来触媒を超えるものではなかったため、計画以上に進行しているとは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
BFPyホスフィンのバリエーションをさらに増やす。特に次年度はBFPy基を有する新規不斉配位子の合成を主体に行う。従来にないタイプの不斉を有する骨格にBFPyホスフィンを導入する。 BFPyホスフィンの反応への展開に関しては、C-H結合活性化による炭素-炭素結合性正反応および不斉触媒反応を行うことで、BFPyホスフィンの有用性を世に示す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はアキラルなBFPyホスフィンの合成を行ったため、試薬の購入が想定よりも安い価格で入手できた。これにより次年度の研究費が生じたが、次年度は不斉配位子を合成するため本年度よりも高額な試薬を多量に購入する予定である。 また触媒反応への展開研究においても不斉反応を行うため、次年度より高額な試薬を購入する。
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Research Products
(7 results)