2013 Fiscal Year Annual Research Report
高効率触媒反応を目指した強い配位力を有する超電子不足な不斉ホスフィン配位子の開発
Project/Area Number |
23550124
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
是永 敏伸 岩手大学, 工学部, 准教授 (70335579)
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Keywords | ホスフィン / 配位子 / 電子不足な配位子 / 高活性触媒 / パラジウム / ロジウム / クロスカップリング / 不斉触媒 |
Research Abstract |
最終年度の成果 本年度は、前年度までに開発されたBFPyホスフィンを用いて触媒反応への適用を行った。触媒反応としては、従来のクロスカップリング反応に代わる次世代型ビアリール化合物生成反応として着目されておりアリール基のC-H結合の直接的開裂を伴う、直接的アリール化反応を用いた。BFPyホスフィンをパラジウム錯体と組み合わせ分子内ビアリール化反応を行った所、従来報告されている触媒系よりも活性が高く、ほぼ定量的に反応が進行する事がわかった。配位子の電子的特性を調査するため、他の電子供与・電子不足なホスフィン配位子を用いて反応を行った所、最も電子不足なBFPyホスフィンが最も活性が高く、電子不足な配位子程活性が高い傾向にある事がわかった。この反応のC-H結合開裂の反応機構は、CMD機構と呼ばれるメカニズムで進行していることが知られており、DFT計算による解析を行った所、BFPyホスフィンはその遷移状態の活性化エネルギーを低下させる事がわかり、理論的にも電子不足ホスフィンがCMD機構に有利であることを初めて示す事ができた。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果 本研究において研究代表者は、立体的にかさばらないが強力な電子求引性芳香環を有する新規不斉ホスフィン配位子の開発を目指した。その結果、BFPyホスフィンと呼ばれる配位子の開発に成功し、ロジウム触媒やパラジウム触媒において従来触媒を上回る触媒活性を得る事に成功した。本配位子は企業との実施許諾契約にも成功しており、今後大きく展開される可能性が高い。また理論計算による解明も行っており、学術的にも電子不足なホスフィン配位子の有効性や効果を十分示す事ができた。
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Research Products
(5 results)