2013 Fiscal Year Annual Research Report
触媒反応での立体選択性の逆転を可能にする第2世代型アニオン性カルベン配位子の創出
Project/Area Number |
23550128
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
坂口 聡 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (50278602)
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Keywords | 合成化学 / 不斉触媒反応 / 共役付加反応 / リガンドデザイン / カルベン配位子 / 銅触媒反応 / 有機金属錯体 / 立体選択性逆転 |
Research Abstract |
N-ヘテロサイクリックカルベン(NHC)配位子前駆体となる3種類のアゾリウム塩、エステルアミド置換アゾリウム塩、ヒドロキシアミド置換アゾリウム塩ならびにヒドロキシアルキル置換アゾリウム塩を創出した。 C2対称性のエステルアミド置換アゾリウム塩は、入手容易なセリンエステルから数段階の過程を経て容易に合成することができた。開発したキラル配位子を利用することで、非環状ならびに環状エノンの高エナンチオ選択的な銅触媒不斉共役付加反応が、穏和な条件のもと良好に進行することを明らかにした。また、後述のヒドロキシアミド置換アゾリウム塩を利用した銅触媒不斉共役付加反応における生成物の立体化学と比較すると、両者は逆の立体配置をもつ1,4-付加生成物であった。このようにリガンドデザインにより両エナンチオマーのつくりわけに成功した。 ヒドロキシアミド置換アゾリウム塩は、これまで未開拓であったBis(NHC)骨格を有するキラル配位子をデザインした。ロイシンを出発原料とする合成ルートを確立した。この配位子を銅触媒不斉共役付加反応に適応したところ、第1世代型の官能基化されたアゾリウム塩を用いた反応を凌駕する結果が得られた。具体的には生成物の不斉収率が95%eeに向上し、また触媒量を半減させることができることを明らかにした。 ヒドロキシアルキル置換アゾリウム塩は、昨年度ヒドロキシアミド置換アゾリウム塩に関する研究で得られた知見を基に研究を行った。その結果、NHC配位子上の置換基が触媒反応の不斉収率に大きく影響を与えることが分かり、適当な配位子のチューニングにより90%を超えるエナンチオ過剰率で目的生成物が得られることを見出した。
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Research Products
(15 results)