2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550129
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
田中 耕一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (10116949)
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Keywords | MOF / ナノ細孔 / 不斉合成 / キラル分離 / 配位高分子 / 金属有機構造体 / 不均一系触媒 / 光学異性体 |
Research Abstract |
(R)-2,2’-ジヒドロキシ-1,1’-ビナフタレン-5,5’-ジカルボン酸とCu(NO3)2をDMF中80℃で18 時間加熱することで2次元層状構造を持つ(R)-MOF-1を緑色結晶として得た。 (R)-MOF-1を触媒に用いてラセミ体スチレンオキシドに対するメタノールの付加反応を行うと、スチレンオキシドの速度論的光学分割が進行し、最高で98%eeの(S)-体スチレンオキシドが得られた。また、MOF触媒のリサイクル性を検証した結果、3回繰り返し反応に用いた後でさえ反応性と不斉選択性の低下は見られなかった。これに対して、スチレンオキシドに対するアニリンの付加反応では高い位置選択性と中程度の不斉選択性で付加生成物が得られた。たとえば、スチレンオキシドとアニリンの混合物をMeOH中で反応させると、α付加生成物とβ付加生成物の4.5:1混合物を与えるが、(R)-MOF-1を触媒に用いるとα:β=29:1と顕著なα位置選択性を示した。また、この反応では最高で60%eeの不斉選択性が得られた。これは、ルイス酸性の配位不飽和な金属サイトに基質分子が配位し、金属サイトの周囲のキラル環境の影響を受けて立体選択的に反応試剤が攻撃し、高いエナンチオ選択性で光学活性化合物を生成するためであることが明らかになった。一方、キラル細孔構造を持つMOF結晶を固定相に用いて高速液体クロマトグラフ用のキラル分離カラムを調製し、これを用いて各種の光学異性体の高効率な分離法を開発した。すなわち、キラルMOFをシリカゲル等に坦持した固定相を調製し、各種のラセミ体スルホキシドのHPLCによる光学分割を検討した結果、良好な不斉選択性を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、研究目的を概ね達成している。以下に、その内容を記す。 1.従来報告例の少ないキラルな金属有機構造体(MOF)を創製し、その結晶構造を明らかにすることに成功した。 2.新規キラルMOFを不均一系触媒に用いたスチレンオキシドのメタノールおよびアニリンによる不斉開環反応が位置選択的および、良好な不斉選択的に進行することを見出した。 3.キラル細孔をもつMOFをHPLCの固定相に用いた新規の光学異性体分離カラムを調製し、これを用いたHPLCによるスルホキシド類の光学異性体分離に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後以下の項目についてさらに研究を進展させる。 1.Cu以外の金属(Zn,Co,Mnなど)を含む各種のキラルな金属有機構造体(MOF)を創製する。 2.新規キラルMOFを不均一系触媒に用いたスルフィドからスルホキシドへの不斉酸化反応への応用を目指す。 3.キラル細孔をもつMOFをHPLCの固定相に用いたHPLCによる種々のキラル化合物(アルコール、ラクタムなど)の光学異性体分離に応用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(21 results)
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[Presentation] 超分子化学への挑戦2012
Author(s)
田中耕一
Organizer
第25回イオン交換セミナー
Place of Presentation
(財)産業技術研究所臨海副都心センター(東京都)
Year and Date
20120713-20120713
Invited
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