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2012 Fiscal Year Research-status Report

環拡大重合法による環状ビニルポリマーの大量合成

Research Project

Project/Area Number 23550131
Research InstitutionTokyo University of Agriculture and Technology

Principal Investigator

尾池 秀章  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20282824)

Keywords環状高分子 / 環拡大重合 / リビングラジカル重合
Research Abstract

平成24年度は、前年度までに実施した、ビニルモノマーの環拡大重合において鍵となるリビングラジカル重合活性を有する環状化合物の合成を受けて、主にスチレンをモノマーとする環拡大重合の条件検討を中心に研究を行った。NMP (Nitroxide Mediated Polymerization)およびRAFT (Reversible Ad dition/Fragmentation Chain Transfer)重合にそれぞれ適用可能なアルコキシアミンおよびチオカルボニルチオ基を分子鎖内に含む30員環程度の環状化合物をそれぞれ用いて、スチレンの重合を行ったところ、これらの分子にスチレンが連続的に挿入したと考えられる高分子生成物を得た。前年度までの予備的な検討で、環状分子間でのラジカル交差反応の併発により重合が精密に制御できていないことが示唆されていたので、重合条件の最適化ならびに生成物の構造解析を行った。収量は少ないながらも重合条件によっては生成する、分子量5000程度の比較的低分子量体について質量分析(MALDI-TOF-MS)による解析に成功し、この生成物が環状構造をとっていることを確認した。一方で、温度、濃度、時間などの条件を詳細に検討したものの、ラジカル交差反応は避けられず重合の精密な制御は困難であることが示唆された。スチレン以外のモノマーとしてメタクリル酸メチルについても検討したところ、チオカルボニルチオ基を有する環状化合物では、重合体を与えたが、同様に重合の精密制御は困難であった。しかしながら、主生成物である高分子量体も環状構造を保っていることが考えられ、今後は、分子量分布等の精密制御は難しくとも、環状構造の確認を合成、物性両面から行い、環状高分子の大量合成を達成する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成23年度において、NMPおよびRAFT重合をそれぞれ可能にする30員環程度の環状化合物を 比較的収率よく合成する方法を確立することができたが、これらの環状化合物を用いたスチレンの環拡大重合は、ラジカル交差反応や熱重合の併発により、精密な重合制御には詳細な条件検討が必要となっていた。重合の精密制御は、分子量分布の狭い様々な分子量の環状高分子を選択的に合成するために重要な要素であるため、平成24年度は、研究計画から遅れるものの、その条件について詳細な検討を行った。しかしながら、分子量制御といった精密な重合制御は本系では困難であることがわかった。一方で、比較的低分子量の生成物を質量分析した結果、生成物が環状構造をとっていることが確認された。また、RAFT重合を用いた場合には、スチレンだけではなくメタクリル酸メチルも重合可能であることを確認した。当初の予定は、モノマーの適用範囲の検討およびブロック共重合体の合成、ならびに、重合反応のスケールアップであったが、前者においては、ある程度確認できたものの、後者においては、重合条件の検討に大幅な時間を費やすことになったため、達成できていない。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度までの検討により、分子量分布等の精密な重合制御は困難であるが、アルコキシアミンあるいはチオカルボニルチオ基を有する環状分子を用いたラジカル重合によりビニルモノマーの重合が進行し、環状高分子が得られることがわかってきている。この重合生成物は、重合時に必要な官能基を分子内に複数含んでいるものの、本質的には環状の高分子化合物であると考えられる。したがって、平成25年度は、この重合体の構造を、各種分光学的手法により解析すると同時に、化学変換や化学修飾によって明らかなものとする。加えて、スケールアップを図り、大量合成も行う。また、この環状高分子は、潜在的な重合可能部位を分子鎖内に複数有していると考えられ、簡便にマルチブロック共重合体が合成できると期待されるため、スチレンとメタクリル酸メチルによる共重合を行う。得られた環状高分子類は熱分析,粘弾性測定,光散乱測定などを通して、その基本的物性について調べ、環状トポロジーに由来する特性についての知見を得る。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度の研究費のうち次年度に使用する予定の研究費は20,819円(直接経費の約1.9%)であり、平成24年度は,当該研究費が生じたものの、ほぼ当初計画通りに研究費を使用した。環状化合物を用いたビニルモノマー類の環拡大型重合を平成25年度も引き続き行うため、この研究費は、反応における溶媒の購入費に組み込む。平成25年度の研究費は、環状化合物の合成用試薬、重合モノマー類、一般合成および測定用試薬、反応および分離精製用有機溶媒に合成用一般ガ ラス器具類として物品費を計上する。また高分子学会の年次大会、討論会における成果発表、および論文発表における投稿料を計上する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] TEMPO含有環状化合物を用いたスチレンの環拡大重合挙動の解析2012

    • Author(s)
      日下慧祐,玉田春仙,尾池秀章
    • Organizer
      第61回高分子討論会
    • Place of Presentation
      名古屋工業大学
    • Year and Date
      2012-09-21
  • [Presentation] チオカルボニルチオ基を有する環状連鎖移動剤を用いた環拡大重合による環状ポリスチレンの合成2012

    • Author(s)
      中川雄太,尾池秀章
    • Organizer
      第61回高分子討論会
    • Place of Presentation
      名古屋工業大学
    • Year and Date
      2012-09-20

URL: 

Published: 2014-07-24  

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