2012 Fiscal Year Research-status Report
両親媒性ブロック共重合体の側鎖末端基に誘起される親水性・生体適合性表面
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23550132
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石曽根 隆 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (60212883)
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Keywords | 両親媒性ブロック共重合体 / ポリジメチルシロキサン / 水溶性ポリマー / 感温性ポリマー / 側鎖末端基 / リビングアニオン重合 / 表面分析 |
Research Abstract |
本研究では、両親媒性ブロック共重合体中の親水性セグメントを、側鎖末端基の疎水性を利用して、空気中や真空下という疎水性雰囲気下においても優先的にかつ自発的にフィルム最表面に偏析させ、親水性・反応性・生体適合性を示すポリマー表面を構築することを目的としている。平成24年度は、疎水性のポリジメチルシロキサン(PDMS, Aセグメント)と親水性のポリメタクリル酸トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(PM3, Bセグメント)から構成されるAB型ジブロック共重合体の合成を行った。まず、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)のアニオン開環重合によりリビングポリジメチルシロキサンを調製し、そこに塩化ベンジル残基を有するシリルクロリドを反応させることで、一次構造の明確な末端官能基化ポリジメチルシロキサンを定量的に合成した。続いて、鎖末端の塩化ベンジル部位をより反応性の高い臭化ベンジル基に官能基変換を行い、求電子性のカップリング成分とした。最後に、M3のアニオン単独重合によりリビングポリ(M3)を別途合成し、末端臭化ベンジル化ポリジメチルシロキサンとのカップリング反応を行った。反応はほぼ定量的に進行し、分取GPCによって目的とする新規AB型ジブロック共重合体、PDMS-b-PM3の単離に成功した。得られたブロック共重合体は、ガラス転移温度の低い親水性、疎水性セグメントから構成され、設計通りの分子量と組成を持ち、分子量分布も非常に狭かった。現在はこのAB型ジブロック共重合体の分子量、組成を変えたサンプルの合成を進めており、キャストフィルムの表面構造分析に使用していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、新規メタクリル酸エステル類のリビングアニオン重合と一次構造の明確な両親媒性ブロック共重合体の合成に成功した。また、ポリメタクリル酸エステルセグメント中の側鎖官能基の定量的な変換反応が進行することも確認した。これに加えて、当初の目標にはなかったシーケンスの異なる両親媒性ブロック共重合体の合成にも初めて成功した。平成24年度は、新しい疎水性セグメントとしてポリジメチルシロキサンに着目し、新規両親媒性ブロック共重合体、ポリジメチルシロキサン-block-ポリメタクリル酸トリ(エチレングリコール)メチルエーテルの合成を行った。この場合は、どちらの成分がキャストフィルムの最表面に偏析するのか非常に興味が持たれる。当初の目標であったポリマーのキャストフィルム表面の構造解析については、現時点で全ての解析結果が得られてないことから、上記の達成度評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、引き続き新規両親媒性ブロック共重合体の精密合成を続けることに加え、表面構造の解析と表面の化学修飾を中心に行うことを予定している。溶液中では側鎖官能基の変換反応は定量的に進行するが、不均一系であるキャスト表面における変換反応の進行については興味が持たれる。この表面構造の解析では、東京大学の横山英明准教授との共同研究により、ブロック共重合体(またはポリマーブレンド)をキャストして得られる最表面(またはバルク)の構造をXPS、AFM、TEM、小角X線散乱、接触角測定などで分析し、親水性セグメントが自発的に表面に偏析する条件(末端基構造、側鎖長、分子量、セグメント組成比、ブレンド比、キャスト溶媒、脱保護条件、アニーリング条件など)を明らかにしていきたいと考えている。キャストフィルムでは、オリゴ(エチレングリコール)側鎖末端の疎水性トリアルキルシリル基やビニル基により誘発され、最表面に水溶性セグメントが濃縮されることが期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)