2013 Fiscal Year Annual Research Report
両親媒性ブロック共重合体の側鎖末端基に誘起される親水性・生体適合性表面
Project/Area Number |
23550132
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石曽根 隆 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (60212883)
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Keywords | 両親媒性ブロック共重合体 / ポリジメチルシロキサン / 水溶性ポリマー / 感温性ポリマー / 側鎖末端基 / リビングアニオン重合 / 表面分析 |
Research Abstract |
本研究では、両親媒性ブロック共重合体中の親水性セグメントを、側鎖末端基の疎水性を利用して、空気中や真空下という疎水性雰囲気下においても優先的にかつ自発的にフィルム最表面に偏析させ、親水性・反応性・生体適合性を示すポリマー表面を構築することを目的とした。具体的には、疎水性のポリジメチルシロキサン(PDMS, Aセグメント)と親水性のポリメタクリル酸トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(PM3, Bセグメント)から構成されるAB型ジブロック共重合体の合成を行った。まず、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)のアニオン開環重合によりリビングPDMSを調製し、そこに塩化ベンジル残基を有するシリルクロリドを反応させることで、鎖末端塩化ベンジル化PDMSを定量的に合成した。続いて、鎖末端の塩化ベンジル部位をより反応性の高い臭化ベンジル基に変換した。最後に、M3のアニオン単独重合によりリビングPM3を別途合成し、末端臭化ベンジル化PDMSとのカップリング反応を行った。反応はほぼ定量的に進行し、分取GPCによって目的とする新規AB型ジブロック共重合体、PDMS-b-PM3を単離した。得られたブロック共重合体は、ガラス転移温度の低い親水性、疎水性セグメントから構成され、設計通りの分子量と組成を持ち、分子量分布も非常に狭かった。スピンコート法によって、このAB型ジブロック共重合体の薄膜を形成し、TEM、SAXS測定を行ったところ、ミクロ相分離構造が形成されていることが示唆された。また、XPSと接触角測定により、疎水性条件下ではフィルム最表面は疎水性のPDMSセグメントによって覆われるが、親水性環境下では迅速な表面の再構築が起こり、親水性のPM3セグメントで表面が被覆されることを見出した。また、親水性セグメント含量の高いブロック共重合体は水溶性を示し、その水溶液が可逆的な温度応答性を示すことを確認した。
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Research Products
(19 results)