2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550137
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋爪 章仁 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70294147)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 尚弘 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10196248)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | ホルモース反応 / 高分子ナノ構造体 / 両親媒性ブロック共重合体 / 両親媒性ランダム共重合体 / 逆ミセル / 架橋デンドリマー |
Research Abstract |
ホルモース反応とは、ホルムアルデヒドを塩基性条件下で加熱すると、ホルモースと呼ばれる糖と糖アルコールの複雑な混合物が得られる反応である。ホルモース反応を選択的に進行させる試みが行われてきたが、ホルモース反応による有用な糖の選択的な合成は未だに達成されていない。本研究課題では、ホルモース反応を高分子ナノ構造体によって制御し、有用な糖を選択的に合成することを目的としている。今年度は、研究実施計画に基づいて、ホルモース反応の制御のために用いる高分子ナノ構造体の合成とキャラクタリゼーションに焦点を絞り、研究を行った。いくつかのモノマーから両親媒性ブロック共重合体、および、両親媒性ランダム共重合体を合成し、それらのポリマーが形成するナノ構造体の構造について詳細に調査した。ポリスチレンとポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) (NIPAM) からなる両親媒性ブロック共重合体 (PS-PN) を合成した。得られたPS-PNは、1,2-ジクロロエタン中で水を取り込んで逆ミセルを形成することを見出し、その逆ミセルの構造を光散乱測定によって調査した。形成された逆ミセルは水を含んだナノメーターサイズのコアを有し、共重合体のブロック鎖長に依存して、比較的大きな水層を有する逆ミセル、あるいは、星形逆ミセルとなることが明らかとなった。これらの逆ミセルは温度上昇によって崩壊することも分かった。また、NIPAMとN,N'-ジイソプロピルフマルアミド (DIPAM) のランダム共重合体の合成を行い、その水溶液の相挙動についても詳細に調査した。DIPFAM含量の増加とともに、曇点が低下することがわかった。また、ホルモース反応で生成する糖の安定化を期待し、ボロン酸残基を有する架橋デンドリマーを、第三世代ポリグリセロールデンドロンを用いて合成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、研究実施計画に基づき、高分子ナノ構造体の合成に焦点を絞って遂行した。PS-PNを用いることによって、これまで報告例の少なかったナノメーターサイズの水層を内部に有する高分子逆ミセルの形成が確認された。このナノメーターサイズの水層は、ホルモース反応場として有用であることが期待される。また、架橋デンドリマーの合成も順調に進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに合成した高分子ナノ構造体を用いてホルモース反応を行う。また、比較のために低分子逆ミセルを用いたホルモース反応も行う予定である。さらに、新たな高分子ナノ構造体の合成とキャラクタリゼーションを引き続き行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、ホルモース反応の実施・分析のため消耗品の購入、高分子ナノ構造体合成のための消耗品の購入と成果発表のための国内旅費として使用する予定である。
|