2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550137
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋爪 章仁 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70294147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 尚弘 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10196248)
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Keywords | ホルモース反応 / 高分子ナノ構造体 / 逆ミセル / エーロゾルOT / 架橋デンドリマー / 銅触媒アジドアルキン環化付加 |
Research Abstract |
ホルモース反応とは、ホルムアルデヒドを塩基性条件下で加熱するとホルモースと呼ばれる糖と糖アルコールの複雑な混合物が得られる反応である。ホルモース反応を選択的に進行させる試みが行われてきたが、ホルモース反応による有用な糖の合成は未だ達成されていない。本研究課題では、ホルモース反応を高分子ナノ構造体によって制御し、有用な糖を選択的に合成することを目的としている。 今年度は、低分子界面活性剤逆ミセルのウォータープールにおけるホルモース反応の生成物の分析条件の最適化、および、新規高分子ナノ組織体の合成に焦点を絞り、研究を実施した。 低分子界面活性剤としてエーロゾルOTを用いて、逆ミセルを形成し、ホルモース反応を行った。最近の当研究室の研究で、この反応系では、ホルモース反応の律速段階である二炭糖形成が加速されることがわかっている。しかし、大量に共存するエーロゾルOT分子のために、生成物の分析が十分に行われていなかった。そこで、高速液体クロマトグラフィーによる生成物分析の条件を最適化した。いくつかの反応条件下でホルモース反応を行い、高速液体クロマトグラフィーで反応生成物のシグナルを検出した。 昨年度に引き続き、新規高分子ナノ構造体として、ボロン酸を有する架橋デンドリマーの合成を継続した。反応条件の最適化により、高収率で架橋デンドリマーを合成する方法について調査した。さらに、別の高分子ナノ構造体として、3-アジド-1-プロピン誘導体の銅触媒アジドアルキン環化付加ポリマーに着目し、その重合反応性について詳細に調査した。3-アジド-1-プロピンと3-アジド-1-ブチンから、1,2,3-トリアゾールを高分子主鎖中に有する新規高分子を合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、高速液体クロマトグラフィーの条件を最適化し、エーロゾルOT逆ミセルを用いたホルモース反応生成物の分析を開始することができた。また、新規高分子ナノ組織体として、糖との強い相互作用により、生成物の選択性の付与が大いに期待できる1,2,3-トリアゾールからなる新規高分子の合成にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに合成した高分子ナノ構造体を用いたホルモース反応の詳細な調査を実施する。今年度に最適化した分析条件での高速液体クロマトグラフィーを用いた生成物の分析、および、単離を行う。得られた生成物を種々の分光学的手法により、同定する。 さらに、ホルモース反応で反応を加速させるスルホン酸残基、および、生成物に選択性を付与するボロン酸残基を有する高分子ナノ組織体を新たに合成し、ホルモース反応に用いる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、ホルモース反応の実施・分析のための物品の購入、高分子ナノ構造体合成のための消耗品の購入と成果発表の国内旅費として使用する予定である。
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