2011 Fiscal Year Research-status Report
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23550141
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
木原 伸浩 神奈川大学, 理学部, 教授 (30214852)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 酸化分解性ポリマー / ヒドラジド / ジアシルヒドラジン / 乾式酸化分解 / 酸化分解性接着剤 / 酸化的脱架橋 |
Research Abstract |
酸化性気体によって乾式で分解する酸化分解性高分子材料を開発する為に、分子内に求核性のヒドロキシ基を有するジアシルヒドラジンを合成し、酸化性気体との反応を検討した。γ-ヒドロキシジアシルヒドラジンは一酸化窒素や二酸化窒素によってカルボン酸まで酸化され、乾式で酸化分解する高分子材料が可能であることが明らかとなった。そこで、ヒドロキシ基をシリル基で保護したヒドラジドの酸化カップリングでポリジアシルヒドラジンを合成することを検討したが、シリル基が外れやすく、酸化カップリング重合は進まなかった。ヒドロキシ基の導入方法を検討している。酸化分解性の接着剤を開発する為に、酸化分解性のエポキシ樹脂硬化剤の開発を検討した。硬化剤のエポキシ樹脂への溶解性を上げるためにエステル基の導入を行なったところ、加熱によりエポキシ樹脂と混和する硬化剤が得られた。イミダゾールを触媒として硬化させたところ、金属とガラスをよく接着する硬化体が得られた。この硬化体は次亜塩素酸ナトリウムによって酸化分解し、酸化分解性接着剤となることが明らかとなった。最もよく使われるビスフェノールA型のエポキシ樹脂の硬化体は分解が遅いが、ブタンジオール型エポキシ樹脂の硬化体は比較的速やかに酸化分解した。酸化反応によって脱架橋される架橋性高分子材料の開発を行った。スチレン-アクリル酸メチル共重合体をヒドラジンで処理したところ、側鎖にヒドラジドを有するポリマーが得られた。これを酸クロリドと反応させたところ、直ちに架橋した。この架橋体をDMAcで膨潤させながら次亜塩素酸ナトリウムで処理したところ、脱架橋され、側鎖にカルボキシ基を有するポリマーが得られた。これはTMSジアゾメタンで処理したところ、スチレン-アクリル酸メチル共重合体に戻すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書で記載した研究テーマのうち2つは、研究を担当していた学生が精神的な問題から登校できなくなったり、突然進路を変更したりしたためほとんど進展しなかった。しかし、その他の研究テーマでは、高強度の酸化分解性接着剤が得られるなど期待以上の進展を見せ、全体としてはおおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究ができなくなった学生の担当していたテーマについては、精神的な状態の回復を待ちながら、状況によっては他の学生に任せるなどして推進する。その他のテーマについては、特に進展が速かったものは計画を前倒しするなどして推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は研究テーマによって進み具合に差はあったものの、全体としては順調に進展したため研究費もほぼ使い切った。次年度も、今年度と同様、一部旅費に使うものの、研究費のほとんどは薬品、溶媒、ガラス器具などの物品費として使用する予定である。
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