2013 Fiscal Year Research-status Report
側鎖回転運動を利用した高イオン伝導性高分子固体電解質の創製
Project/Area Number |
23550143
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松本 幸三 近畿大学, 工学部, 准教授 (90273474)
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Keywords | ポリカルボシラン / 環状カーボナート / リチウムイオン / イオン伝導度 / 固体電解質 |
Research Abstract |
軸回転型の官能基として5員環環状カーボナート構造の置換基を導入したポリシラシクロブタン(SBMC)を固体高分子電解質として使用した場合には、ホモポリマーであるpolySBMCは5員環環状カーボナート基により高分子主鎖の運動性が低下して十分なイオン伝導性が発揮されなかったことから、高分子主鎖の運動性を高めるために、柔軟な成分として1,1-ジエチルシラシクロクブタン(DESB)を添加し、DESBとSBMSの共重合体poly(DESB-co-SBMC)の合成とそのポリマーにリチウム支持電解質を添加してのイオン伝導性に関して検討を行った。DESB:SBMC=50:50の組成で白金触媒を用いて重合を行った結果、poly(DESB-co-SBMC)(50:50)(数平均分子量45,800、重量平均分子量118,000、ポリスチレン換算)の高分子量のポリマーが高収率で得られた。このポリマーのガラス転移温度は、-38℃であり、polySBMCのガラス転移-13℃と比較すると非常に低く極めて柔軟なポリマーであることがわかった。このポリマーに支持電解質としてリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)をSBMCユニットに対して25mol%添加してイオン伝導度測定を行ったところ、室温で0.028mS/cmの比較的高いイオン伝導度を有することがわかった。これは、同様にLiTFSIを添加したpolySBMCホモポリマーの室温におけるイオン伝導度のおよそ50倍の値であり、主鎖の柔軟性がイオン伝導性に重要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
柔軟で化学的安定性に優れたポリカルボシランを基本骨格としたポリマーに軸回転性の5員環環状カーボナート構造を持つ官能基を導入し、かつ、主鎖構造をより柔軟にするためにジエチルシラシクロブタンユニットを共重合することに成功し、固体電解質としてのイオン伝導度をおよそ50倍上昇させることに成功した。まだ、目標とするイオン伝導度には到達していないが、共重合体組成によってさらなるイオン伝導性向上が期待できることから、研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、5員環環状カーボナート構造の置換基を軸回転型の官能基として利用して、より柔軟性が高く、イオン伝導性が向上するように、SBMCとDESBの共重合体組成を変化させたコポリマーを種々合成し、リチウム支持電解質を添加してイオン伝導度測定を行い、高イオン伝導性を発現するのに最適な共重合体組成とリチウム塩の添加量を明らかとする。さらに、この固体高分子電解質を用いてリチウムイオンバッテリーの特性評価を行う。また、この共重合タイプのポリマーを電解液中で架橋することにより新たなゲル電解質を合成し、限電解質リチウムイオンバッテリーについても特性評価を行う。
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Research Products
(2 results)