2011 Fiscal Year Research-status Report
簡便なエポキシドのメタルフリーイモータル重合の開発とその機能性ポリマーの合成
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23550144
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
森長 久豊 高知工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (20396584)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高分子合成化学 / イモータル重合 / 開環重合 / エポキシド / メタルフリー |
Research Abstract |
23年度では、テトラブチルアンモニウムフロリド(TBAF)をメタルフリー重合開始剤として用いたグリシジルフェニルエーテル(GPE)の開環重合が、イモータル重合系であるかどうかを検討した。すなわち、プロトン性化合物であるエタノール、酢酸存在下において、本重合系の検討を行った。その結果、プロトン性化合物存在下において、本重合系は停止しないことが明らかとなった。得られたpoly(GPE)の末端構造をNMRによって解析したところ、FCH2-開始末端に加え、エトキシド開始末端あるいは酢酸エステル開始末端が存在していることが明らかとなった。このことから、プロトン性化合物は連鎖移動剤として働いたことがわかった。また、得られたpoly(GPE)の重合度は、重合開始剤と連鎖移動剤の和と、モノマーであるGPEのモル比によって表わされた。さらに、連鎖移動剤の添加量にかかわらず、分子量分布は単峰性で狭いことが分かった。以上のことから、プロトン性化合物存在下でのTBAFによるGPEのメタルフリー開環重合において、分子量制御に成功したといえる。 これまでのイモータル重合といえば、金属含有重合開始剤を用いた反応が一般的であった。本研究は、金属を全く用いない新しいイモータル重合系であるので、学術的新規性は高い。得られたポリマーは、電子材料や生体適合性材料、環境材料などへの展開を可能とし工業的利用分野を飛躍的に広げることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度研究計画における最大の目的は、「エポキシドのメタルフリーイモータル重合系の開発」であり、それを達成できたためである。すなわち、プロトン性化合物であるエタノールや酢酸存在下、テトラブチルアンモニウムフロリド(TBAF)によるグリシジルフェニルエーテル(GPE)のメタルフリー開環重合を行うことで、得られるポリマーの分子量制御に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本系がメタルフリーイモータル重合系である特性を活かし、様々な連鎖移動剤を用いることで、機能性ポリマーのワンポット合成を検討していく。特に、ポリエチレングリコールのような親水性ポリマーをプロトン性マクロ化合物として用いることで、両親媒性ブロック共重合体を簡便に合成することを試みる。また、得られた機能性ポリマーの機能および物性評価も検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定している研究費の使用用途は、機能性ポリマー(特に、両親媒性ブロック共重合体)の合成とその物性評価(水中での会合状態の検討)や機能性評価に必要な試薬および実験器具の購入である。
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