2013 Fiscal Year Annual Research Report
ピンサー型ニッケル錯体を用いた高機能電解酸化触媒の開発
Project/Area Number |
23550147
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小泉 武昭 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (60322674)
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Keywords | 電解酸化反応触媒 / ニッケル錯体 / 電気化学 / ピンサー型配位子 / メタノール酸化反応 |
Research Abstract |
本研究は、ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)の開発において、解決しなければならない重要な課題の一つである、メタノールの低電位酸化触媒の開発を行うものである。 平成25年度は、前年度までに合成した錯体のうち、最も低電位側で酸化を起こすことのできる錯体を選定し、メタノールの電気化学的な酸化が起こる電位を明らかにした。種々の置換基を導入したピンサー型配位子を有するニッケル錯体について、有機溶媒中における酸化電位を検討したところ、第二級チオアミドをアーム部位に持つ錯体に対して2モル当量の塩基を作用させて合成したチオアミダート錯体が最も低電位に酸化電位を示すことがわかった。この錯体を用いて、メタノールを溶媒とするサイクリックボルタモグラム(CV)測定を行った結果、約+0.4 V (vs. Fc+/Fc)で酸化波の大きな立ち上がりが観測された。これはメタノールの酸化が進行したものと考えられる。錯体由来のピークとしては、E1/2 = -0.3 V (vs. Fc+/Fc)でNi(III)/Ni(II)に基づく酸化還元波が観測された。この結果より、錯体中のニッケルが酸化されてもメタノールの酸化が起こらず、さらにもう1電子分酸化された時にメタノールの酸化が起こると考えられる。従って、より低電位側でメタノールの酸化を実現するためには、2電子目の酸化を低電位側で起こさせるための分子設計が必要である。 触媒となる金属錯体を電極上に固定化した修飾電極を作成すべく、錯体の合成を検討した。アーム部位の置換基としてチオフェンを導入し、酸化重合による電極表面への高分子膜の状態での固定化を考え、錯体の合成を試みた。しかしながら、2-チエニル基を導入した配位子の合成に難航し、きれいな配位子を得ることができず、錯体の合成には至らなかった。配位子の合成法を再検討し、錯体の合成、修飾電極の調製を行いたいと思う。
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