2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550150
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
加藤 知香 静岡大学, 理学部, 准教授 (00360214)
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Keywords | ポリオキソメタレート / 白金 / 光触媒反応 / 水 / メタノール / 水素発生 / 可視光 / 助触媒 |
Research Abstract |
白金は、様々な工業分野で利用されており、我々の生活になくてはならない元素のうちの一つであるが、地殻埋蔵量の減少や埋蔵地域の偏在、高コスト、シンタリング等の劣化や活性低下等、克服すべき課題も多い。本研究では、白金構造の分子レベル制御による高効率利用技術の確立や新機能の発現を目指して、ポリオキソメタレート骨格中に白金種を分子レベルで組み込んだ新物質の開発を目的としている。昨年度までに、ケギン型一欠損ポリオキソメタレートに白金(II)種を配位した新規化合物の合成・構造解析に成功しており、本化合物を酸化チタンと共存させることで可視光照射により水から水素が発生することも確認している。本年度は、本化合物と酸化チタンの混合物を光触媒材料として用い、400 nm以上の可視光照射によるメタノールおよび20%メタノール水溶液からの水素発生に対する活性評価を行った。その結果、白金一原子当たりのターンオーバー数は6時間後に800~1600に達しており、白金一原子当たりの有効利用率が著しく向上していることが分かった。また、光照射後も白金サイトの分解や構造変化が観測されなかったことから、安定性・耐久性に優れており、再利用が可能であることも確認した。一方、ドーソン型一欠損ポリオキソメタレートを出発錯体とした場合も白金種配位化合物が得られることを明らかにしており、その光触媒機能については現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の2年目は、昨年度合成・構造解析に成功した白金化合物を酸化チタンと共存させることで、可視光照射下でのメタノール、20%メタノール水溶液からの水素発生に対する活性評価を行った。その結果、白金一原子当たりのターンオーバー数が6時間後に800~1600に達することや、光照射後も白金サイトは分解・構造変化しないことを確認しており、ポリオキソメタレート骨格中に白金種を導入することで白金一原子当たりの有効利用率や白金構造の安定性が向上することが分かった。また、ドーソン型一欠損ポリオキソメタレートを出発錯体とした新規白金化合物の合成法を確立し、元素分析、赤外分光分析、核磁気共鳴分析、熱分析、紫外可視分光分析等により、一欠損サイトに構築された白金サイトは非対称な二核構造を保持していると結論した。得られた化合物も酸化チタンと共存させることで、可視光照射によりエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム水溶液から水素が発生することを確認しており、様々な光反応条件下での触媒機能について現在検討中である。酸化触媒機能についても活性評価を進めており、研究成果はおおむね順調に得られていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、ケギン型およびドーソン型ポリオキソメタレートベース白金化合物を可視光応答型触媒および酸化触媒として応用し、白金構造と触媒活性との相関について詳細に検討する。光触媒反応では、可視光照射下での水・アルコールからの水素製造を中心とした活性評価を行う。酸化触媒反応は、均一・不均一系での炭化水素やアルコール類の酸素酸化を中心に活性評価を行う。触媒活性は反応条件や前処理条件による構造・電子状態の変化の影響を受けやすいため、単結晶X線構造解析、熱分析、元素分析、赤外分光分析、核磁気共鳴分析、紫外可視分光分析等でそれらを正確にモニターし、活性種の同定を含めた反応機構の解明を行う。また、白金の高効率利用を意識して、白金の有効利用率や安定性・耐久性、再利用に関する基礎的知見も総括する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)