2011 Fiscal Year Research-status Report
側鎖修飾テトラセンによる構造制御された有機固体の構築と光学機能
Project/Area Number |
23550161
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
北村 千寿 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (60295748)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | テトラセン / アルキル鎖 / 固体色 / 自己集合 / 分子配列 / 分子間相互作用 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
アルキル以外の側鎖で修飾されたテトラセン分子の固体状態の光物性と分子配列の影響を調査するためにエステル基を持つテトラセン分子の合成を行った。2,6-ナフトジンの前駆体となる3,6-ビス(トリメチルシリル)ナフタレン-2,7-ビス(トリフラート)とアセチレンジカルボン酸エステルをアセトニトリル-ジクロロメタン中トリス(ジベンジリデン)ジパラジウム(0)触媒を用いて作用させることにより、最大16%の収率で1,2,3,4,7,8,9,10位にエステル基を有するテトラセンの合成に成功した。原料のエステル基のアルキル部位の長さがブチル基以上ではテトラセンの合成がうまくいかなかった。これは中間体として生じる五員環のパラダサイクルが立体障害のため生じにくいと考えられる。単離できたテトラセンオクタエステル体は溶液中ではほぼ同じ吸収および蛍光スペクトルを示した。一方固体状態において、メチルエステル体は赤色、エチルエステル体はオレンジ色、プロピルエステル体は黄色に呈色し、異なった吸収と蛍光スペクトルになった。この原因を解明するためにX線結晶構造解析を行った。エステル部位に様々な回転角度が見られ、またテトラセン部位の配列に着目するとどれも異なっていることがわかった。メチルエステル体のみにスタッキング方向に面間距離3.79Åのπ-オーバーラップが見られ、エチルとプロピルエステル体にはπ-オーバーラップがなかった。隣の分子とのcenter-to-center距離を調べるとメチルエステル<エチルエステル<プロピルエステルの順となり、アルキル部位の長いものほど分子間距離を拡げ分子間相互作用を弱める結果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究成果であるが、学会発表および論文掲載が活発に行われ順調な成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
テトラセンの固体状態の光物性に対する置換基効果をさらに進めるため、アルキル置換体の追加、カルボキシイミド置換体の合成について検討を行う。X線結晶構造解析が不可能な固体については粉末X線回折測定から分子配列に関する情報を取得するように努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請書に従った使用を行う予定である。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Octaalkyl Tetracene-1,2,3,4,7,8,9,10-octacarboxylates: Synthesis by Twofold [2 + 2 + 2] Cocyclization and Crystallochromy2011
Author(s)
Chitoshi Kitamura, Akira Takenaka, Takeshi Kawase, Takashi Kobayashi, and Hiroyoshi Naito
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Journal Title
Chemical Communications
Volume: 47
Pages: 6653-6655
DOI
Peer Reviewed
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