2013 Fiscal Year Annual Research Report
側鎖修飾テトラセンによる構造制御された有機固体の構築と光学機能
Project/Area Number |
23550161
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
北村 千寿 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (60295748)
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Keywords | テトラセン / アルキル鎖 / 固体色 / 分子配列 / 分子間相互作用 / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
1,4,7,10-テトラブチルテトラセンの赤色と黄色固体の結晶構造を用いて計算化学的に精密な評価を行った。これまで、Kashaの励起子理論に基づいて最近接二分子の配座を用いて計算を行ってきたが、長波長か短波長シフトするかの定性的な指標しか見出されていなかった。励起子理論だけでは限界が見えたので、分子軌道の重なり・空孔および電子の電荷移動を考慮に入れた新しい理論(神戸大藤本氏の開発したTDFI-TF法)を用いて、分子軌道計算ソフトウェアGaussianによる再評価を行った。有機化合物の計算法として密度汎関数法B3LYPがよく用いられてきたが、テトラセンの系では補正のかかったCAM-B3LYPの方がより実測値に近い値が出ることがわかった。TDFI-TF法とCAM-B3LYP/6-31G*レベルの計算を、相互作用があると考えられるカラム方向にスタックした2分子から5分子まで用いて行った。分子の数が増えても大きな変化は見られなかったことから2分子レベルの計算で十分ということがわかった。TDFI-TF法による最低励起エネルギーの計算値は固体状態のスペクトルのピークトップの値とかなり一致し、波形の再現も見られた。軌道係数の考察から、赤色固体において2分子のLUMOレベルの軌道係数の重なりが大きいことが見られ、赤色固体では電荷移動の効果が長波長シフトへ寄与していることを明らかにした。黄色固体は分子全体が平行配列、赤色固体は分子がヘリンボン配列をとっていたことから、全体の配列が物性の差につながっていると考えてきたが、カラム方向の部分的な配列を調べるだけで色調が予測できる結果を示唆した。
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Research Products
(15 results)