2011 Fiscal Year Research-status Report
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23550168
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
檀上 博史 甲南大学, 理工学部, 准教授 (70332567)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 自己組織化膜 / 超分子ポリマー / 分子接合素子 / 分子認識 / 金属ナノ粒子 |
Research Abstract |
金属およびグラファイト基板上に固定化するためのスピロボラート型分子接合素子として、ナフタレン環の6位および4位にそれぞれチオアセチル基、ホスフィノ基およびピレニル基を有する化合物を計9種類合成した。ピレニル基を有するスピロボラート型分子接合素子については、始めにカーボンナノチューブとの相互作用について検討した。その結果分子接合素子の無い状態ではDMF中で即座に沈殿するカーボンナノチューブが、分子接合素子の存在下では長時間にわたって安定に分散している様子が確認できた。チオール基を有する分子接合素子については、金基板および金ナノ粒子との相互作用について検討を行った。金基板上に分子接合素子をディップコートしたものを原子間力顕微鏡にて観察したところ、表面に分子接合素子の凝集体の存在が確認されたが、現在のところ積層構造の制御には至っていない。一方金ナノ粒子調製におけるチオアセチル基含有分子接合素子の効果についても種々検討を行った。Brust法による金ナノ粒子調製を分子接合素子を保護剤として行ったところ、ドデカンチオールを用いた場合と同様、約3~5 nm程度の直径をもつ金ナノ粒子を安定な状態で得ることに成功した。分子接合素子の特性を活かしたナノ粒子の配列および粒径制御の目的から、ホスフィノ基含有分子接合素子にあらかじめ金カチオンを配位させ、これを還元することで金ナノクラスターの調製を試みたところ、ポリマー様構造中に2~3 nm程度の直径のナノ粒子が取り込まれたものが透過型電子顕微鏡観察で確認された。一方あらかじめ調製したウンデカゴールドとホスフィノ基含有分子接合素子を混合した場合には、粒子が一次元的に並んだ様子が一部で観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基板およびナノ粒子との相互作用に必要なアンカー基を有する分子接合素子については、かなりのバリエーション合成することに成功している。また金属ナノ粒子との相互作用についても、種々検討を行うことができ、ナノ粒子の粒径および配列制御についての知見が蓄積しつつある。一方基板修飾については、修飾法と観察法の双方について、今後検討の必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ホスフィノ基含有分子接合素子を利用したナノ粒子の一次元配列化について、反応条件や分子構造の最適化を行うことでこれを達成する。また基板表面の修飾について、基板上での分子接合素子の自己組織化を促す方策を種々検討しつつ、走査プローブ顕微鏡観察による表面構造の観察手法を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種分子接合素子およびナノ粒子の合成に必要な試薬、および各種基板に加え、走査プローブ顕微鏡のプローブを調達する必要があることから、これらの購入を予定している。また研究成果を公表するための学会参加に係る費用も計上する予定である。
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