2012 Fiscal Year Research-status Report
1分子における規則的構造変化を材料化できる新規フォトクロミック材料の開発
Project/Area Number |
23550169
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
谷藤 尚貴 米子工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80423549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 浩史 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60397453)
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Keywords | フォトクロミズム / ジアリールエテン / メソポーラスシリカ |
Research Abstract |
適切な分子設計がなされた分子を外部刺激によって動作させれば,分子レベルで可逆的かつ大きなモルフォロジー変化を誘起することができ,この性質を材料の機能として発現させることができると,新しい機能材料の創製が実現できる.本研究では,1分子の構造変化に由来した物性のスイッチングが誘起する材料創製のための試みとして,適切な波長の光を照射することで規則的な構造変化が可能な分子であるジアリールエテンの新規合成と規則的な細孔を有する無機多孔質であるメソポーラス材料が融合した材料の合成を試みた. 今年度はメソポーラスシリカMCM-41 へイオン伝導性をもつ柔粘性結晶である[C4H8NH2]PF6 と1,2-Bis [2-methylbenzo [b] thiophen-3-yl]-3,3,4,4,5,5-hexafluoro-1-cyclopenteneを添加して,MCM-41 細孔内でのイオン伝導度を測定するとともに,外部からの光照射によるジアリールエテンのフォトクロミズムで生じる構造変化を利用してMCM-41 が示すイオン伝導を光でスイッチングさせる試みを行った.メソ細孔内に柔粘性結晶,ジアリールエテンを導入した試料を12MPaの圧力下でペレット整形した試料に対して20-120ºCの範囲において,印加電圧0.1V,周波数4-1MHzで交流インピーダンス測定を行った.313 nmの光を照射すると,インピーダンスの絶対値 は343K 付近で最大(4.02±0.02)×10 6オーム増加した.その後500 nm以上の可視光照射を数時間行うことでジアリールエテンを完全に開環体にすると,紫外光照射前の(9.72±0.02) ×10 5オームまで減少し,この変動は適切な波長の光照射によって繰り返しスイッチング可能であることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メソポーラスシリカ細孔内ではジアリールエテンがフォトクロミズムを示し,それによって多孔質全体の物性が光スイッチングできる新しい現象を見出した点で,計画通りに成果が出ていると判断できる.さらに,添加試料の検討によって物性値の変化量は大きくなり,採択年度内で計画以上の成果となる見込みを有している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度見出したメソポーラスシリカ+ジアリールエテン複合体に関する物性情報の詳細を調べ,より高性能な固体材料の開発に取り組む.具体的には,より物性値の変化を誘起できるように大きなモルフォロジー変化を誘起するジアリールエテンの新規合成を実施し, それをメソポーラスシリカと複合化させる.多孔質についてMCM-41以外を用いた検討を実施して,最終的には,メソ多孔質の物性の光スイッチング特性の最大値を伝導度等による評価によって求めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品:実験用試薬,ガラス器具の補充 旅費:共同実験(米子-名古屋),基礎有機化学討論会,ヨウ素学会シンポジウム その他:論文校正
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