2013 Fiscal Year Annual Research Report
重合誘起相分離を利用した高性能固定化Pdナノ触媒の創製
Project/Area Number |
23550172
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Research Institution | 一般財団法人川村理化学研究所 |
Principal Investigator |
加藤 愼治 一般財団法人川村理化学研究所, 高分子化学研究室, 室長 (10415458)
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Keywords | Pd触媒 / 多孔性ポリマー / 重合誘起相分離 |
Research Abstract |
(1)PdNPs/リガンド複合体形成の機構およびその構造の解明 3級アミノ基、ウレア結合、およびアミド結合をそれぞれ任意の個数併せ持つメタクリレート分子として、各世代ポリアミドアミンデンドリマーを用いた集積化リガンド含有モノマー、および、それらの対照となる低分子性モノマーを種々合成した。それらを用いて、重合誘起相分離(PIPS)によりPdナノ粒子(PdNPs)担持多孔性ポリマーを調製した。低分子性モノマーであっても、分子中に複数個(3個以上)のリガンド部位を有する場合、集積化リガンドモノマーを用いた場合と同様、得られるPdNPsのサイズ制御に効果があることが見いだされた。しかしながら、触媒反応においては、集積化リガンドモノマーを用いて調製したポリマーの場合、顕著にPdリーチングが抑制されるのに対して、低分子性モノマーを用いた場合では反応液中へのPdの漏出が観測された。これらの結果より、低分子性モノマーが集積化されて形成された配位サイトは、レドックス反応をともなうPdの触媒プロセスにおいて、Pd成分を安定的にポリマー中に捕捉することができないことが示唆された。 (2)PdNPs担持多孔性ポリマーフィルムを利用したハイスループット触媒システムの創製 架橋性モノマー、リガンドモノマー、およびPd塩を溶媒に溶解させ、そこに可溶性ポリマーを添加することにより、UV光照射によるPIPS過程を経て、PdNPs担持多孔性ポリマーフィルムを形成した。用いる溶媒として低揮発性・低極性モノマーを用いることにより、表面多孔性(凹凸性)に優れたフィルムの形成が可能となり、触媒反応の際、ポリマー内に担持されたPdNPs近傍への反応基質のアクセスが促進された。その結果、得られたPdNPs担持ポリマーフィルムは、水系クロスカップリング反応に対して、Pdリーチングを伴わず、かつターンオーバー数 >1,000,000のきわめて高活性な固定化触媒として機能することが明らかとなった。
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