2013 Fiscal Year Research-status Report
高励起状態への遷移による有機分子の短波長励起二光子吸収特性の解明とその機能化
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23550174
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鎌田 賢司 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 上級主任研究員 (90356816)
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Keywords | π共役分子 / 二光子吸収 / 非線形吸収分光 / 電子励起状態 |
Research Abstract |
本研究はπ共役系有機分子について、未探査である可視光短波長領域(400-580nm)において二光子吸収スペクトルの測定を行い、強い二光子吸収特性を持つ可能性を実験的に検証するとともに、その二光子吸収遷移が生じる理由を電子構造から明らかにすることが 目的である。 これまで分岐型フェニルエチニレン誘導体が400nmにおいて二光子吸収断面積20,000GMに達する非常に強い二光子吸収を示すことを見 い出しており、また測定系の波長域短波長側への拡張によって、分岐型フェニルエチニレン誘導体の480nmまでの二光子吸収スペクトルの測定を行い、二光子吸収断面積は波長が短くなるに従い次第に増加して400nmの結果 に近づくことが明らかになった。また量子化学計算も行い、二光子吸収が強いと期待される高い対称性を持つ励起状態が短波長域に存在することが示された 。また、環状オリゴフェニレン系化合物やそれを発展させたナノケージ化合物の二光子特性も明らかにしてきた。 H25年度は400nmと480nm間のギャップを埋めるために480nmよりも短波長の波長について二光子吸収スペクトルの測定を進め、その後、ナノ秒レーザー光励起と半導体レーザー励起による反応の確認を進める予定であったが、短波長領域における基準物質として選択したGaNが既報値とのずれが見つかり、計画を変更して基準物質の再検討と測定結果の詳細な再確認を行った。その結果、測定自体には問題は無く、再測定によっても測定値は再現する一方、既報値とは依然ずれが見られ、GaN試料そのもの個体差による可能性が浮上して来た。また、平行して、分岐型フェニルエチニレンと同じの分子対称性の、より長波長に吸収をもつ誘導体についても二光子吸収を測定して、そのスペクトル特性の相違点を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画ではナノ秒レーザー光励起と半導体レーザー励起による反応の確認を進める予定であったが、基準物質として選択したGaNの既報値とのずれについて計画を変更して全測定波長域での詳細な再現実験を行ったため、遅延が生じ、ナノ秒レーザーパルス励起による反応の確認実験が年度内に実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度が最終年度であったが、期間延長を行い、H26年度おいては、GaN試料が既報値と食い違う問題について、その試料個体差について確認を行うとともに、既存レーザーの光学系改造によりナノ秒レーザー光照射による二光子誘起反応実験を行う。また、海外より二光子誘起微細造形の専門家を短期招聘し、その助言を元に二光子誘起反応実験の加速を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は400~480nm間の波長について二光子吸収スペクトルの測定を進め、その後、ナノ秒レーザー光励起と半導体レーザー励起による反応の確認を進める予定であったが、同波長領域のスペクトル測定のための基準物質に不備が見つかり、計画を変更して基準物質の測定結果の再確認を行うこととしたために未使用額が生じた。 期間延長により、H26年度ではナノ秒レーザー光励起による反応の確認を行うこととし、またその加速のために海外より二光子誘起微細造形の専門家を短期招聘して助言を得る。未使用額はそれらの経費に充てる。
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[Journal Article] Syntheses and Properties of Graphyne Fragments: Trigonally Expanded Dehydrobenzo[12]annulenes2013
Author(s)
Kazukuni Tahara, Yuki Yamamoto, Dustin E. Gross, Hiroyoshi Kozuma,Yoko Arikuma, Koji Ohta, Yoshiko Koizumi, Yuan Gao, Yo Shimizu,Shu Seki, Kenji Kamada, Jeffrey S. Moore, and Yoshito Tobe
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Journal Title
Chemistry A European Journal
Volume: 19
Pages: 11251-11260
DOI
Peer Reviewed
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