2012 Fiscal Year Research-status Report
耐塩化酵素を用いた超臨界二酸化炭素中における機能性オリゴ糖合成
Project/Area Number |
23550177
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
八波 利恵 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (90334531)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究は、高度好塩性古細菌由来の耐塩化酵素を超臨界二酸化炭素中における触媒として使用し、機能性オリゴ糖を合成することを目的とする。研究達成のために、まず耐塩化酵素にアミノ酸置換を行ない超臨界二酸化炭素中においても機能する酵素を作製し、さらに作製した酵素を超臨界二酸化炭素中に用いて機能性オリゴ糖を合成することを計画した。なお、耐塩化酵素には研究者が見出した高度好塩性古細菌由来キチナーゼ(以後、ChiN1と略する)を用いることとした。研究者は既にChiN1が分子表面に多量の酸性アミノ酸を有し、一方で塩基性アミノ酸は極めて少ないことを明らかにしている。この性質により、耐塩化酵素であるChiN1は超臨界二酸化炭素中におけるオリゴ糖合成酵素として、酸性中でも失活することはなく機能すると推察した。平成24年度は、ChiN1のさらなる耐塩化のためのアミノ酸置換箇所となる分子表面の塩基性アミノ酸(リシン残基)を抽出した。抽出には、研究者が既に作製していたChiN1の立体構造モデルを使用した。さらに当該箇所の溶媒露出表面積を計算し、算出した値と立体構造を考慮して、アミノ酸置換箇所を選択した。次に当該箇所をアラニン残基に置換した変異体を作製し、酵素化学的性質検討を行った。その結果、取得できたいずれの変異体においても野生型に比べて耐塩性の向上は認められなかった。現在、その他の変異体の取得および性質検討を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、ChiN1の分子表面に存在する塩基性アミノ酸(リシン残基)を抽出した。さらに当該箇所をアラニン残基に置換した変異体を作製し、耐塩性の評価を行った。しかしながら、当初は熱安定性・超臨界耐性などの性質検討も行う予定であったが、これは実施できていない。変異体数が多数あったため、変異型酵素の取得に手間がかかったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
ChiN1および平成23および24年度に作製した酸性アミノ酸の導入および塩基性アミノ酸の削除を施した変異体の詳細な酵素学的性質検討を行う。次にこれらを用いて、一定時間超臨界二酸化炭素中に静置した後、超臨界二酸化炭素耐性を評価する。評価の方法としては、ChiN1の酵素活性を指標とする。この結果を検討し、酸性アミノ酸および塩基性アミノ酸が超臨界二酸化炭素中での耐性に寄与しているかどうかを明らかとする。さらに、上述の実験により、酸性アミノ酸が超臨界二酸化炭素中において有利に働くことがわかった場合、さらに酸性アミノ酸を導入し、超臨界二酸化炭素耐性を調べ超臨界二酸化炭素耐性が向上した変異体を取得する。同時に、塩基性アミノ酸が超臨界二酸化炭素中に実際に不利に働く事が明らかとなった場合、分子表面に存在する塩基性アミノ酸をすべて他のアミノ酸に置換し、超臨界二酸化炭素耐性を調べ超臨界二酸化炭素耐性が向上した変異体を取得する。そしてこれらの超臨界二酸化炭素耐性が向上した変異体を用い、超臨界二酸化炭素中でのオリゴ糖合成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度には、超臨界二酸化炭素中における酵素の安定性を調べるため、反応容器としてサファイヤ窓付き反応容器の購入を計画していたが、超臨界二酸化炭素中におけるオリゴ糖に至らなかったため、購入していない。そのため、本年度購入し、研究を行う予定である。その他生化学試薬、生化学実験器具、タンパク質分離用カラムも購入予定である。また、研究成果を学会で発表するための経費として、国内旅費、海外旅費および学会参加費も使用計画に含めた。なお、今年度の執行額に残額が生じた状況については、変異体の数が多く、その取得に手間がかかっため実験がやや遅れていることに起因する。
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[Presentation] Physiological function and some properties of possible aerotaxis transducer Htr8 from extremely halophilic archaeon Haloarcula japonica2012
Author(s)
T. Matsubara, T. Tadikara, Y. Kubota, T. Kosaka, T. Ozawa, R. Yatsunami, T. Fukui, K. Nakasone, N. Fujita, M. Sekine, T. Takashina, S. Nakamura
Organizer
The First International Symposium on Biofunctional Chemistry (ISBC2012)
Place of Presentation
東工大蔵前会館(東京)
Year and Date
20121128-20121130
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