2013 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノキャビティを反応場とする物質変換プロセスの開拓
Project/Area Number |
23550178
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩松 将一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60345866)
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Keywords | ナノカーボン / 物質変換触媒 |
Research Abstract |
本研究は、ナノカーボンを原材料としたキャビティ分子をナノリアクター、もしくは触媒とする物質変換プロセスの開発を目的とするものである。より具体的には、フラーレンC60に高次の有機化学修飾を施すことによって得られる炭素系キャビティ分子の (1) 単一分子吸蔵特性、(2) 外部表面の特異的反応性に着目し、ナノカーボンを利用する新たな物質変換反応の開拓を目的とするものである。最終年度は後者を中心に実験検討を行った。 初年度より着手していたアミン類の触媒的な化学変換反応について、引き続き検討を重ねた結果、ジケトン構造を有するキャビティ分子を用いることにより、ベンジルアミンならびにその置換誘導体の酸化的な二量化反応が進行し、イミンが生成することを確認した。同反応の既報の触媒群と比較して反応速度、ターンオーバー数(~10)ともに十分でないことから、一般性の確認・反応後の触媒分離とともに、NMRを用いた経時変化追跡実験で検出された中間体の単離・同定を試みたが、成功には至らなかった。この他、活性メチレン化合物を基質とする反応の実験検討において、キャビティ分子表面に変化が起こることが確認できたものの、物質変換触媒としての機能発現には至らなかった。 一連の研究を通じて、キャビティ分子が有するエステル置換基が基質・反応試剤選択の際、制約の要因となったこと、加えて化学量論量のパラジウムを用いて同置換基を導入していることから、エステル置換基をもたない同骨格構築法についてもあわせて実験検討を行った。望みのキャビティ分子構築には至らなかったが、本実験において、フラーレンの光増感作用で生ずる一重項酸素によるフェンシクロンの分解反応が速やかに進行することを確認した。
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