2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550180
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 幸次 京都大学, 化学研究所, 准教授 (80189290)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メチルセルロース / 相分離 / ゲル化 / 添加塩 |
Research Abstract |
代表的な水溶性のセルロース誘導体であるメチルセルロース(MC)は、セルロースの水酸基の一部をメチルエーテル化することでセルロースの分子内や分子間の水素結合の力を弱め、水に可溶化したものである.その水溶液は下部臨界完溶型溶解挙動を示し,60~70℃付近への加熱により,ゲル化や相分離などの転移現象が協奏的に起こる.しかし、一般的な混合溶液系の相分離現象の場合と異なり、MCの転移現象は濃度や分子量の変化には大きくは依存しない.そのため,本研究ではMC水溶液に種々の添加塩を加えることで,転移温度を制御することを目的としている。 手始めに両親媒性の塩であるテトラフェニルホウ酸ナトリウム(NaBPh4)をMC水溶液に添加した系において,転移現象に対する添加塩濃度依存性を調べた。塩濃度が低い領域では,純粋なMC 水溶液に比べ,濁り始め温度(曇点)が低くなった.更に塩を添加して高濃度領域に達すると,曇点が高くなるという効果反転が起こった.更に添加量を増すと,曇点が高くなっていき,0.40(mol/l)に達すると,測定温度範囲内で濁りが生じなくなるという大変興味深い現象を見いだした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画ではNaBPh4以外の種類の塩に対しても調査する予定であったが、手始めに行ったNaBPh4添加塩系が研究実績の概要で述べたように途中の濃度で効果反転を起こすという不思議な結果が得られたため,再現性試験やこの現象に対する考察に専念した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画のNaBPh4以外の種類の塩に対しても調査することと平行して,ゲル化と相分離とが協奏的に起こる原因の解明を目指す.そのためにはセルロースを水に可溶化させている置換基の効果にさかのぼって調査する方針である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の方針を遂行するための試薬やその精製用の器具,また,高感度で転移現象を観察するための装置の改良等に研究費を充てる予定である.
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Research Products
(1 results)