• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

糖脂質メタボローム解析による細胞のフェノタイピングに関する研究

Research Project

Project/Area Number 23550185
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

藤谷 直樹  北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 特任助教 (10374191)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords糖脂質 / メタボローム解析 / 質量分析法 / 核磁気共鳴法
Research Abstract

平成23年度は、細胞の糖脂質メタボローム解析の第一段階として、細胞由来スフィンゴ糖脂質糖鎖の解析を行った。質量分析法を用いたスフィンゴ糖脂質の定量解析においては、しばしばセラミド鎖長のばらつきが、広範な分子量を与えてしまい、正確な定量を難しいものにするが、本年度はスフィンゴ糖脂質のヘッドグループである糖鎖構造のみを選択的に定量解析することによって、セラミド鎖長のばらつきがもたらす定量性の不確定さを排除することとした。スフィンゴ糖脂質から糖鎖を選択的に切断するために、放線菌由来のエンドグリコセラミダーゼの大量発現を行い、充分量の酵素を獲得した後、細胞から抽出したスフィンゴ糖脂質の糖鎖を切断した。これに先立ち、オゾン酸化と酸加水分解を組み合わせた化学的手法による糖鎖切断も試みたが、充分な量の糖鎖を回収するに至らなかった。最適な酵素反応条件の検討の結果、基質特異性の異なるエンドグリコセラミダーゼ1と2の2種類のサブタイプを等量混合することによって、最大量の糖鎖を回収することが出来ることを発見した。この系を用いて、チャイニーズハムスター由来細胞3種、マウス由来細胞4種、ヒト由来細胞4種の計11種類の細胞のスフィンゴ糖脂質糖鎖の定量解析を行った。定量解析はMALDI-TOF MSを用い、濃度既知の非天然型糖鎖からなる内部標準との比較によって行った。その結果、細胞によってスフィンゴ糖脂質の発現パターンに大きな差異があることを明らかにした。これは、スフィンゴ糖脂質の定量的プロファイリングが細胞を特徴づけ得るものであることを示しており、これを誌上発表した。また、次年度以降に糖脂質の代謝経路の定量的な解析を行うため、糖脂質の効率的な同位体ラベル方法の開発に着手した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究初年度において、質量分析法を用いた糖脂質の定量的解析方法を確立し、それによって11種類の細胞由来の糖脂質の定量解析に成功した。また糖脂質の定量データにより細胞を区別・記述することに成功し、これを誌上発表した点においては順調に進展している。質量分析法と合わせて、核磁気共鳴(NMR)法による定量解析も質量分析と組み合わせて行う予定であり、次年度以降のNMRによる解析も順次行う。現在のところ効率的な安定同位体ラベル化サンプルの調整方法の確立を行っており、方法論が確立次第NMRによる定量解析を実施する。

Strategy for Future Research Activity

NMR法による糖脂質代謝物の定量解析のため、糖脂質の効率的な同位体ラベル方法の開発を優先的に進める。効率的なラベル化方法として、予期できない栄養源をカットするために無血清培地を用いる必要があり、適切な培養条件を確立した後、NMRを用いた代謝物の定量解析を行う。同時に液体クロマトグラフィと質量分析を組み合わせたLCMSによる網羅的定量解析を行い、両者から得られるデータを用いた多変量解析によって、糖脂質代謝物による細胞のフェノタイピングを達成する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

経費の節減の結果生じた使用残については、比較的高価である同位体ラベルされたグルコースなどの細胞の栄養源や、無血清培地の購入に充当する。これらは、糖脂質の代謝経路や代謝速度を解析するために必須となる。また、当初の計画通り、質量分析法やNMR解析に必要な溶媒や試薬の他、比較するべき細胞を選定し、これを購入する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Qualitative and quantitative cellular glycomics of glycoshongolipids based on Rhodococcal endoglycosylceramidase-assisted glycan cleavage, glycoblotting-assisted sample preparation, and matrix-assisted laser desorption ionization tandem time-of-flight mass spectrometry analysis2011

    • Author(s)
      Fujitani N, Takegawa Y, Ishibashi Y, Araki K, Furukawa J, Mitsutake S, Igarashi Y, Ito M, Shinohara Y.
    • Journal Title

      The Journal of Biological Chemistry

      Volume: 286 Pages: 41669-41679

    • DOI

      10.1074/jbc.M111.301796

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] スフィンゴ糖脂質のグライコミクスによる細胞の解析・定義2011

    • Author(s)
      藤谷直樹、荒木香代、古川潤一、伊東信、篠原康郎
    • Organizer
      第84回日本生化学会大会 2011/9/21~24
    • Place of Presentation
      京都国際会議場(京都市)
    • Year and Date
      2011年9月21-24日
  • [Presentation] スフィンゴ糖脂質のグライコミクスによる細胞の解析・定義2011

    • Author(s)
      藤谷直樹、石橋洋平、荒木香代、古川潤一、光武進、五十嵐靖之、伊東信、篠原康郎
    • Organizer
      第4回セラミド研究会
    • Place of Presentation
      北海道大学(札幌市)
    • Year and Date
      2011年10月27、28日

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi