2011 Fiscal Year Research-status Report
生体内で不変的なESR活性を保つスピンラベル剤の開発とその応用
Project/Area Number |
23550187
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
波多野 豊平 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (20333990)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | スピンラベル剤 / 農薬ニュータント / 経時変化追跡法 / 無侵襲計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、作物体内への農薬浸透移行過程を植物が生きたままの状態で計測する分析システムの開発であり、本年度は、土壌施用剤として広く用いられているアセタミプリド(農薬)に、ESR活性なスピンプローブ部位を持たせた分析ツールであるアセタミプリドミュータントを合成した。アセタミプリドミュータント―農薬部位の合成―出発物質である2-クロロ-5-クロロメチルピリジン(1)にGabrielアミン合成を行い、2-クロロ-5-アミノメチルピリジン(2)を収率84%で合成した。その後、アミノ基をBoc保護し、プロパルギルブロミドと反応させることでリンカー部位であるアセチレン基を導入した。その後、脱保護を行いN-((6-クロロピリジン-3-イル)メチル)-2-プロピン-1-アミン(3)を3段階、47%収率で合成した。アセタミプリドミュータント―スピンプローブ部位の合成―スピンプローブ部位である1,1,3,3-テトラエチルイソインドリン-2-オキシル誘導体(4)は、出発物質であるm-アニス酸(5)を臭素化した後、カルボン酸部分をエステル化し、続くGrignard試薬による付加反応を行うことで、3-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)ペンタン-3-オール(6)を得た。次に、硫酸-酢酸混合溶媒を用いて脱水し、オレフィン(7)とした後、ブチルリチウムを用いてホルミル基を導入した(5段階、70%)。ホルミル基をオキシムへと変換し、ヒドロキシルアミンへの還元、続くリバースCope転位反応による環化反応によって、イソインドール誘導体(8)へと導いた(4段階、41%)。その後、Grignard試薬を用いたエチル基の導入、ならびにヒドロキシルアミンのオキシムへの酸化反応を繰り返すことで、1,1,3,3-テトラエチルイソインドリン-2-オキシル誘導体(4)を収率11%で得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アセタミプリドミュータントの農薬部位の合成は、出発原料である2-クロロ-5-クロロメチルピリジンから順調に達成されてきている。現在は、クリックケミストリーで結合させるためのリンカー部位の導入も達成できており、当初の予定通りである。アセタミプリドミュータントのスピンプローブ部位の合成については、研究の初期段階において、目的化合物や合成ルートの変更があったものの、昨年度の後半からは順調に合成が達成されてきた。現在、計画段階で予定していた生成物の4段階前の化合物まで合成が達成できている。現時点では、当初の予定よりも多少、遅れている。以上のことから本研究の進展具合を評価すると、「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に達成できなかったアセタミプリドミュータントのスピンプローブ部位の合成を引き続き行う。合成が達成でき次第、スピンラベル剤と農薬誘導体を、クリックケミストリーを用いて結合させ、スピンラベル化された農薬ミュータントの合成を達成する。次に、上記で開発したスピンラベル化された農薬ミュータントを用いて、LバンドESR計測を行い、「生きたままの」農薬分布イメージング経時変化追跡を検証する。イメージングしたデータを、抽出方法(植物を部位ごとに採取、粉砕後に抽出、LCで定量)で得た各部位における実際の農薬分布と比較し、生きたままのESRイメージング経時変化追跡法の正確さを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の大部分は、農薬ミュータントの合成に用いる試薬の購入代金に充てる予定である。また、これまでの研究成果を発表するための学会への参加旅費として使用する予定である。
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[Journal Article] Enantioresolution of 2,2'-bis(diphenylphosphino)-1,1'-binaphthyl oxide using inclusion complex with chiral 2,2'-dihydroxy-1,1'-binaphtyl2012
Author(s)
Bunpei Hatano, Kazuyuki Hashimoto, Hiroshi Katagiri, Tatsuro Kijima, Satoshi Murakami, Shigeru Matsuba, Miho Kusakari
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Journal Title
Journal of Organic Chemistry
Volume: 77
Pages: 3595-3597
DOI
Peer Reviewed
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