2012 Fiscal Year Research-status Report
生体内で不変的なESR活性を保つスピンラベル剤の開発とその応用
Project/Area Number |
23550187
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
波多野 豊平 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (20333990)
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Keywords | スピンラベル剤 / 農薬ミュータント / 経時変化追跡法 / 無侵襲計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、作物体内への農薬浸透移行過程を植物が生きたままの状態で計測する分析システムの開発であり、本年度は、昨年度から開発を検討していたアセタミプリドミュータントの開発をあきらめ、同じく土壌施用農薬であるイミダクロプリドに、ESR活性なスピンプローブ部位を持たせた分析ツールの開発を行いその開発にほぼ成功した。 ―イミダクロプリドミュータントの合成― 昨年度、開発を検討していたアセタミプリドミュータントは、合成最終段階のリンカー形成部位の導入が選択的に行うことができず、リンカー形成部位が異なる位置に導入された混合物として誘導体が得られた。種々、合成条件の検討を行ったが位置選択的な合成方法を見出すことができず、アセタミプリドミュータントの開発を断念した。そこで、交付申請書に記載した研究実施計画の変更を行い、イミダクロプリドミュータントの開発をおこなった。出発物質である2-クロロ-5-クロロメチルピリジンにニトロアミノイミダゾリンを導入し、農薬であるイミダクロプリドとした後、プロパギルブロマイドを作用させ、イミダクロプリドにリンカー形成部位である末端アセチレンの導入をした。イミダクロプリドにおいて比較的簡単にリンカー形成部位が導入できたため、既存のスピンプローブ剤の導入を検討した。2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを臭素化し、続いてFavorskii転位を用いて環縮小反応を行い、2,2,5,5-テトラメチル-2,5-ジヒドロピロールを合成した。続いて二重結合の還元、カルボキシル基の還元を行いアルコール誘導体に導き、アルコールのメシチル化、アジドへの変換、ラジカル化を経て、リンカー形成部位を持ったスピンプローブ部位を合成した。今後、クリック反応を行い目的生成物であるイミダクロプリドミュータントの開発を行い、作物を用いた農薬ミュータントの評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度、アセタミプリドミュータントの開発を断念し、イミダクロプリドミュータントの開発に切り替えた。イミダクロプリドミュータントの開発は順調に進んだため、研究の大きな遅れは取り戻せたが、研究の中盤での大きな方向転換であったため、全体の研究計画がやや遅れている。現在は、クリック反応に取り組んでおり、リンカー部位の形成を行っている。今後、作物を用いた農薬ミュータントの評価を行っていきたい。 以上のことから現時点では、当初の予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に達成できなかったイミダクロプリドミュータントの開発を引き続き行う。ミュータントの開発が達成でき次第、作物を用いてLバンドESR計測を行い、「生きたままの」農薬分布イメージング経時変化追跡を検証する。イメージングしたデータを、抽出方法(植物を部位ごとに採取、粉砕後に抽出、HPLCで定量)で得た各部位における実際の農薬分布と比較し、生きたままのESRイメージング経時変化追跡法の実用性検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(8 results)