2013 Fiscal Year Annual Research Report
1ナノメートルの分子空間を活用した細菌膜傷害性抗菌ペプチドのモデル化研究
Project/Area Number |
23550191
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
山村 初雄 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80220440)
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Keywords | シクロデキストリン / ペプチド |
Research Abstract |
本研究では、細菌膜を傷害する天然抗菌ペプチドをモデル化する。本年度は細菌膜脂質と相互作用するアミノ基と疎水性基を併せ持つシクロデキストリン誘導体についての研究を行った。グラミシジンSはプラス電荷を帯びるアミノ基を持ち、これが負電荷を帯びた細菌膜状の脂質分子に相互作用する。7個のグルコースが円筒状につながったβシクロデキストリンには、その円筒構造の両側にグルコースの一級ヒドロキシ基7個が集まる部分と二級ヒドロキシ基14個が集まる部分がある。その一級ヒドロキシ基を活性化してアジド基に置換し、そこにクリック反応を利用してアミノ基を導入した。プラス電荷が増えればマイナス電荷を帯びる膜脂質との大きな親和性が期待できる。そこでマイクロ波照射を利用して2個のアミノ部を持つリジン残基を導入することで1分子あたり14個のアミノ部を持つ誘導体を高効率で合成する反応を開発した。また、グラミシジンSに代表されるシート型ペプチドは細菌膜を撹乱・傷害するためには陽イオンになるアミノ基(親水性基)と疎水性基のバランスが重要であることが示唆されている。そこで疎水性基として、まずメチル基を導入した。また、グラミシジンSがイソプロピル基を持つことを参考にシクロデキストリンに導入した。さらに分枝の有無が生理活性への影響を調べるために直鎖プロピル基を導入した誘導体も合成した。これら誘導体の抗菌性を調べることで親水性基/疎水性基のバランスとその構造、および脂質膜との相互作用に関する有用な知見が得られた。
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