2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化触媒作用をもつ脂肪族セレン化合物の分子設計と応用
Project/Area Number |
23550198
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岩岡 道夫 東海大学, 理学部, 教授 (30221097)
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Keywords | セレン / 抗酸化剤 / アミノ酸 / タンパク質 / フォールディング / 触媒反応 / 不斉合成 |
Research Abstract |
有機セレン化合物は高い酸化還元反応性をもつことから,有機合成化学,薬学,生物化学など,幅広い分野での応用が期待されている。本研究では分子科学の立場から,有機セレン化合物のもつ特異な反応性を生かした新しい含セレン機能性有機分子を創製することを目的として研究を行った。抗酸化酵素グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)の新規脂肪族モデルの分子設計(課題①)においては、Fmoc法によりセレノシステインを含む種々のセレノペプチドを合成することに成功し、これのGPx様酵素活性を評価した。その結果、GPx活性中心に存在する三つ組アミノ酸(トライアッド)が酵素活性に重要な役割を果たしていることを実験により初めて証明することができた。また、Boc法によるセレノペプチドの合成手法も確立することができた。これらの研究では事前に、独自に開発した計算プログラムを用いてセレノペプチドの分子シミュレーションを行い、アミノ酸配列の効率的な分子設計を行った。抗脂質ペルオキシ化活性をもつ脂肪族セレン化合物の開発と分子機構の究明(課題②)では、ヒドロキシ基またはアミノ基を有する水溶性五員環状セレニドに長さの異なる長鎖アルキルを導入した誘導体を各種合成し、その抗脂質ペルオキシ化活性を測定した。その結果、合成した両親媒性セレン化合物が細胞膜のペルオキシ化を抑制する良い抗酸化剤となることを明らかにした。新しい含セレン機能性有機分子の有機合成化学,生物分子科学研究への応用(課題③)では、セレノシスティン誘導体を用いた触媒的不斉合成の更なる収率の向上を目指し、セレン原子上の新しい保護基の探索を網羅的に行い、アリル基が良い保護基となることを見出した。また、ニコチンアミドのセレン誘導体のGPx活性について詳細に検討したところ、活性中間体としてセレン-炭素二重結合をもつセロンが存在することを、NMR及び各種スペクトル観測によって明らかにした。
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Research Products
(27 results)