2012 Fiscal Year Research-status Report
β‐グルカンの生理作用と自己集合を利用した環境応答性高分子ミセルの創製と医療展開
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23550199
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
矢島 博文 東京理科大学, 理学部, 教授 (10147506)
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Keywords | β-グルカン / キトサン / カードラン / ヨウ素錯体 / 高分子ミセル / 環境応答性 / 薬物キャリヤー |
Research Abstract |
本研究は、β-グルカンの自己集合を利用した薬物キャリヤーとしての機能を有する新規環境応答型医用材料の創製を目指すため、親水性ポリマーとの共重合化によるβ-グルカンの水溶化および高分子ミセルあるいはナノゲルの構築を図り、ヨウ素を薬物とし、それらとの相互作用を物理化学的測定により評価した。β-グルカンとして、β-1,4-グルカンのキトサン(Ch)およびβ-1,3-グルカンのカードラン(Cur)を用いた。親水性ポリマーとして、PEGおよび温度応答性高分子ポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)を用い、β-グルカンとのブロック(b)化およびグラフト(g)化を行った。Ch系については、前年度のCh-b-PEG、Ch-g-PEGおよびCh-g-PNIPAAm共重合体に続き、本年度の成果として、還元アミノ化法によるChとPNIPAAmとのブロック体 (Ch-b-PNIPAAm)の合成に成功し、そのヨウ素錯体の物性に関するpHおよび温度依存性を追究した。特に、40℃近傍で高分子錯体ミセル凝集体形成の可逆性およびヨウ素のアルカリ劣化に対する抑制が観測された。一方、Cur系については、前年度のTEMPO酸化によるCurの水溶化に続き、本年度の成果として、アミドカップリングによるCur-g-PEGおよびCur-g-PNIPAAm共重合体を合成し、そのヨウ素錯体形成を評価した。特に、Cur-g-PEG共重合体にはヨウ素との錯形成が観察された。Curに関する研究過程において、塩化カルシウムを分散剤として、Cur水溶液はヨウ素と錯形成を起こし、円偏光ニ色性スペクトルより右巻き三重ラセン構造を形成することを示唆する知見をはじめて得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
① Cur-b-PEGおよびCur-b-PNIPAAm共重合体の合成に至っていない。これらの合成には、低分子化Cur試料が必須である。 ② Cur系グラフト化共重合体については、グラフト率がそのヨウ素錯体の物性を支配するが、未だグラフト率の決定法とその制御が確立していない。
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Strategy for Future Research Activity |
① Ch-b-PNIPAAm共重合体の合成法に従い、Cur-b-PEG、Cur-b-PNIPAAm共重合体を還元アミノ化法により合成し、それらのヨウ素錯形能および物性を評価する。 ② 本課題の目標である薬物キャリアーの調製を達成するため、両末端官能基PEGおよびPNIPAAmを入手および合成し、片末端に葉酸リガンドを修飾したCh-b(g)-PEG、Ch-b(g)-PNIPAAm、Cur-b(g)-PEG、Cur-b(g)-PNIPAAm共重合を合成し、細胞への取り込みおよび抗腫瘍性を評価する。 ③ 薬物として、ヨウ素の他、フラーレンを用い、光線力学療法に対する機能性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費(試薬、ガラス器具、カラム等)および国外学会出張費に使用する。
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Research Products
(16 results)