2013 Fiscal Year Annual Research Report
β‐グルカンの生理作用と自己集合を利用した環境応答性高分子ミセルの創製と医療展開
Project/Area Number |
23550199
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
矢島 博文 東京理科大学, 理学部, 教授 (10147506)
|
Keywords | β-グルカン / キトサン / カードラン / ヨウ素錯体 / 高分子ミセル / 環境応答性 / 薬物キャリヤー |
Research Abstract |
β-グルカンの自己集合を利用し、抗腫瘍性薬物ヨウ素を送達する機能を有する新規環境応答型医用材料の創製を目指すため、親水性ポリマーとのグラフト(g) およびブロック(b)共重合化によるβ-グルカンの水溶化およびその高分子会合体の構築を図り、それらとヨウ素の相互作用を物理化学的測定により評価した。平成23、24年度において、β-グルカンとして、キトサン(Ch)およびカードラン(Cur)を、また親水性ポリマーとして、ポリエチレングリコール(PEG)および温度応答性高分子ポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)を用い、Ch系については、Ch-b-PEG、Ch-g-PEG、Ch-g-PNIPAAm、Ch-b- PNIPAAm共重合体の合成に、一方、Cur 系については、TEMPO酸化によりCur-g-PEGおよびCur-g-PNIPAAm共重合体の合成に成功した。昨年25年度においては、還元的アミノ化法によりCur-b-PEGおよびCur-b-PNIPAAm共重合体を合成するとともに、腫瘍細胞のレセプターに対する葉酸リガンドを修飾した親水性ポリマーと各β-グルカンとの共重合体を合成した。本研究で調製したヨウ素錯体の物理化学的特性に対するpHおよび温度依存性から、すべての共重合体系錯体はpH7.4および37℃の生体環境で安定であり、特にCh系錯体については細胞内pHの5付近においてヨウ素の徐放性を観測した。動的光散乱測定による構造特性解析の結果、グラフト共重合体はサイズ50-100nm程度のナノゲル構造を、またブロック共重合体は約100nmの高分子ミセルを形成することがわかった。以上の結果、本研究で合成したβ-グルカン共重合体-ヨウ素錯体はアクティブターゲット薬物キャリヤーとしての機能を有する新規環境応答型医用材料として充分に期待できると結論された。
|
Research Products
(30 results)