2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550205
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 健吉郎 静岡大学, 工学部, 教授 (20153603)
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Keywords | 非晶質酸化物 / クラスタードーピング |
Research Abstract |
Al,Nのクラスタードーピングによりp型の非晶質InGaZnO4の作製を実施した。これまでは、InGaZnO4粉末にAlN粉末を添加したものをターゲットとして、RFスパッタリングにより薄膜作製を行ってきたが、InGaZnO4とAlNのスパッタ速度や酸素分圧依存性が異なっているため、p型薄膜の低抵抗化に困難を生じてきた。 そこで、今年度は、InGaZnO4ターゲットとAlNターゲットを独立にスパッタできるように装置を改造し、p型薄膜の作製を行った。RFpowerを一定にし、堆積真空のみを変化させたところ、堆積圧力の増加と共に抵抗が上昇した。また、ゼーベック効果測定でpn伝導を調べたところ、1×10-2 Torr付近でp型伝導を示した。堆積雰囲気での酸素分圧を変化させたところ、酸素比率が0%から0.5%に増やすと、抵抗は減少し、p型を示さなくなった。この原因は、酸素によりAlNの窒素が失活し、窒素ドープ量が減ったためであると考えらる。こうした結果から堆積真空9.5×10-3 Torr、酸素量0-0.3%の条件で、最もp型IGZOになりやすいことが分かった。 良好なpnデバイスを作成するため、n型IGZOの表面形態と作製条件との関係を調べた。基板とターゲットの距離が短く加えて高真空の場合に、1nm以下の平滑さを持つ薄膜が得られた。これは、スパッタされた粒子の散乱が少ない状態では斜め入射効果が抑制されるためと考えられる。 得られたp型IGZOとn型IGZOを用いてpn接合のデバイスを作製し、I-V測定を行った。その結果、良好な整流性が得られた。このI-V測定の結果からも、作製された薄膜がp型であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一ターゲットを用いたスパッタリング法では、p型InGaZnO4の作製される条件、たとえば、堆積真空、酸素分圧、高周波出力の最適範囲がきわめて狭く、再現性よくp型薄膜を作製することが困難であった。これに対して、2つの独立したターゲットを用いることによりp型薄膜を作製する条件が緩和され、高い再現性でp型薄膜を作製できるようになった。この点は、当初の目標をクリアしている。 非晶質の特徴である平滑な表面を有する薄膜を作製させる条件を明らかにできた点は、実際に多層構造を持つデバイス作製の上で大変重要であり大きな進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
第1は、理論計算ではInGaZnO4のホールの易動度がきわめて低いことが予想されているが、実際にはある程度の値が得られている。この原因が、高濃度のAl,Nのドープに関係していることが推測され、この点を実験的に解明する必要がある。そこで、高濃度にドープされて出現する窒素関連の不純物バンドを光学的に検出する。 第2は、低い易動度を持つp型InGaZnO4を積極的に利用するため、縦型のJFETを試作する。予備実験から、p型InGaZnO4薄膜における粒子径が大きすぎて電場の効果が十分に働かないことが示唆された。そこで、量子ドットをテンプレートとして用いることを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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