2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550206
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪股 智彦 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40397493)
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Keywords | イオン液体 / 修飾電極 / 架橋 / オレフィンメタセシス / 機能性化合物 / 機能性電極 |
Research Abstract |
本申請では、イオン液体修飾電極中に機能性化合物(例えば酸素4電子還元を触媒する鉄複核錯体など)を導入することで、機能性電極を作製することを目的としている。特に、目的の機能性化合物を導入後にイオン液体同士を電極上で架橋することにより、これまでより安定した機能性電極を作製することが可能である。 H24年度は昨年度より引き続き、末端に結合性官能基を導入した4級アミン型イオン液体修飾電極の作製とその物性評価および機能性化合物の導入と末端官能基の架橋反応による分子の閉じ込め実験を行った。新たに設計した末端にアルケンを導入したジスルフィド含有4級アミン型イオン液体を合成し、金基板上へ自己組織化法により修飾した。修飾電極の物性等は表面赤外分光法および電気化学測定法を用いて評価し、金基板上に4級アミン型イオン液体が修飾されていることを確認した。続いて鉄複核金属錯体を用いてイオン液体修飾電極中へ外来性分子の導入実験を行ったところ、鉄複核錯体がイオン液体分子間に固定化され、室温・水溶液中で分解することなく酸化還元応答を示すことが明らかとなった。得られた鉄複核錯体が固定されたイオン液体修飾電極とGrabbs触媒を反応させることで、イオン液体分子末端のオレフィン部分をメタセシス反応により架橋させた。表面赤外分光法により、イオン液体分子の末端オレフィンが架橋している事を確認した。得られた電極を用いて酸素雰囲気下で電気化学測定を行ったところ、酸素の電気化学的触媒反応に伴う触媒電流が観測され、酸素還元反応が起きていることが確認された。また末端オレフィンの架橋前後では酸化還元電位などの酸化還元挙動はあまり変わらず、架橋による固定化が鉄複核錯体に与える影響は非常に小さいことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は電極上に修飾するためのイオン液体の合成(特に精製)が上手く行かず、研究計画に遅れが生じたためH23年度の目標を達成することができなかった。H24年度は特に大きな問題は起こらず、研究の進捗の遅れを取り戻すことができた。これは末端にオレフィンを有する表面修飾用イオン液体の合成法の改良が功を奏したためである。また当初H24年度に計画していた実験もほぼ行うことが出来たため、概ね順調に研究は進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の計画通りに研究を遂行する予定である。本年度までに開発をした鉄複核錯体が固定化されたイオン液体修飾電極の酸素の4電子還元反応に関する詳細な評価を各種電気化学測定および表面赤外分光法で行う予定である。特に表面赤外分光法と電気化学測定を組み合わせた装置により、表面に固定化された鉄複核錯体の酸化還元に伴う構造変化に関する情報を得ることを目的とする。また鉄複核錯体以外の機能性分子のイオン液体修飾電極への導入も併せて目指す予定である。特に本年度の予算を用いて共用設備として購入した「分光感度特性測定用光源」を用いて、光応答性を有する機能性分子の導入と光触媒反応についての研究を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は繰り越し金も含めてほぼ予定通りに予算を使用したため、H25年度の研究費は当初の予定通り、消耗品として合成用の試薬およびガラス器具,電極材料作製用の各種金属線(AuおよびPt)やQCM用のセンサーチップの購入を行う。また旅費および謝金等に関しても当初の計画に沿った使用を計画している。
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Research Products
(11 results)