2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550207
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅山 有和 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30378806)
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Keywords | グラフェン / ピレン / 化学修飾 |
Research Abstract |
ジアゾニウム塩化合物を利用した1ステップでの芳香族付加反応、および芳香族付加反応とカップリング反応を利用した2ステップでの反応により、ピレニル基を化学変換グラフェンシート上に連結することに成功した。得られたピレン修飾グラフェンの分光学的性質を検討することで、ジアゾニウム塩化合物を利用した芳香族付加反応は、2つのアリール基をグラフェン上の近接した位置に連結することが実験的に示された。吸収極大で励起したピレン修飾グラフェンの蛍光スペクトルを測定したところ、1ステップおよび2ステップ反応で得られたものの両方において、ピレン参照化合物と比較して著しい発光強度の減少が確認された。この結果から、連結されたピレンの励起一重項状態は、グラフェンシートとの相互作用によって消光していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピレンなどのπ共役系化合物をグラフェンに共有結合により付加した複合体を創出し、その構造および光学的特性に関する検討を行う予定であったが、それらを計画通りに実行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ピレンやポルフィリンなどの電子ドナー性色素ユニットをカーボンナノチューブやグラフェンなどのナノカーボン材料にフェニレンスペーサーで連結した場合、エキシプレックスを形成し、電荷の解離が起こることなく失活することが、これまでの我々の研究により明らかになっている。今後は、電子ドナーをナノカーボンにつなぐフェニレンスペーサーの数を種々検討し、電荷の解離が起こるのに最適な両者の距離を探索する予定である。電荷分離が最も効率よく起こる系に対し、光電変換素子の光活性層としての機能評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的な有機合成用の実験装置や、紫外可視近赤外吸収スペクトルや核磁気共鳴分光など、合成化合物の同定や基礎的な物性の測定および光電気化学測定を行う装置は、研究室や専攻の施設として備わっており、それらを使用することができる。そのため、研究経費の多くを、光機能性グラフェンを作製するための有機合成用試薬やガラス器具、光電変換デバイス作製・評価を行うための消耗品購入費に充てる。また、国内外の大学研究者と共同して研究を遂行する部分があるため、学会での成果発表の他、共同研究打ち合わせのための旅費を計上する。
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