2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550211
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
森山 廣思 東邦大学, 理学部, 教授 (10126188)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 有機電子材料 / 分子素子 / フラ-ライド / 界面制御 / デバイス |
Research Abstract |
本研究は、申請者らがこれまで研究を積み重ねてきたフラーライド系分子結晶を有機固体薄膜の界面制御に応用し、その新規分子素子としての機能解明およびその性能を飛躍的に向上させるために要求される基本的条件を明らかにすることを目的としている。フラーライド分子結晶を構成要素とする強靱かつ稠密な自己組織化超薄膜を作製し、その 分子素子としての性能を向上させる手法を確立することによって、界面での分子素子の果たす役割を解明しようとするものである。特に、電極/有機膜界面および有機/有機界面の果たす役割に焦点を絞り、高応答性を実現するための界面の化学的制御に関する方法論を確立する。 最近申請者が発見した、トリフェニルメタン系色素カチオンで安定化されたフラーレンアニオンラジカル(フラーライド)単結晶が形成する特異な低次元ナノ構造を有するナノウィスカー構造体を構成要素とする新たな分子素子を構築し、界面制御における有用なナノ材料として用いることによって、その電子機能性を探索し、電子材料としての新たな応用の可能性を探索する。 フラーライド単結晶が有機半導体的挙動を示すことは、予備的な研究から明らかになっていたが、ビクトリアピュアブルー色素カチオンで安定化されたフラ-ライド単結晶の伝導度測定を直流4端子法を用いておこない、温度が低下するとともに伝導度が減少する半導体的な挙動を示す再現性を確認した。また、トリフェニルスルフォニウム(TPS)など新たなカチオンを用いて電解結晶成長法を試みた。さらにC60の誘導体の合成も行い、4種の新規フラーレン誘導体を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
界面近傍のモルホロジーは電子素子の高効率化にきわめて重要な役割を担うと考えられており、電極/有機界面の界面制御に関して、薄膜同定手段として必須の光導波路を用いたエバネッセントUV/VIS表面・界面分光測定装置による測定系を平成23年度に導入することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を基にして、フラーライド分子性結晶育成を継続するとともに、このフラーライド結晶を有機薄膜系へ導入し、その薄膜の伝導性を調べる。またさらに、新たな機能性発現の探索として、金ナノ粒子や量子ナノドットを介在させることによるフラーライド分子性結晶の物性に与える影響に着目し、これらのナノ粒子が構造や物性にどのような変化を及ぼすかどうか検討する。とりわけ金ナノ粒子系ではプラズモン共鳴を光導波路測定によって分子デバイスの機能解析を進めることができるので、初年度導入するエバネッセントUV/VIS表面・界面分光測定装置を有効に活用することによって、表面プラズモン共鳴光導波路分光装置から得られる知見により界面制御に関して新たな指針を得る。 今後、構造が明らかとなっている分子性フラ-ライド結晶によって、新規機能界面を創製していく予定である。このようなアプローチは新たな分子性デバイスの新規開拓にとってもきわめて意義深いと考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は旅費として予算化していた額を校費で国内学会出張として充当したため、科研費申請予算中、旅費未使用分を基金として残す結果となった。また、外国出張旅費として中国西安市および韓国大田市の2回分は、いずれも先方負担であり、科研費での旅費支出はなかった。 平成24年度はフラーレン原料、試薬、ガラス器具などの消耗品および旅費に主要な研究費を使用する予定である。
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Research Products
(12 results)