2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヘキサシアノ鉄酸金属塩ナノ粒子の精密合成:混合原子価機能性材料の創成と展開
Project/Area Number |
23550223
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柴 史之 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (10312969)
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Keywords | ナノ粒子 / ヘキサシアノ鉄酸マンガン / ヘキサシアノ鉄酸コバルト / 中空粒子 / 外部添加法 |
Research Abstract |
本研究は,プルシアンブルー類似体と呼ばれる一群の化合物について,それらのナノ粒子精密合成法の確立を目指したものである。名称の由来となっている「プルシアンブルー」は,3価の鉄イオンとヘキサシアノ鉄(II)からなる混合原子価化合物であり,このことが独特の青色やエレクトロクロミズム等の機能性発現の源となっている。本研究では「プルシアンブルー」および,鉄イオンを他の金属イオンに置換した「プルシアンブルー類似体」(以下,M-HCF,Mは金属イオン種)について,単分散性に優れたナノ粒子の合成法探索を中心に研究を進めてきた。本年度は,前年度までに得られた成果をもとに,以下のことについて特に検討を行った。 《連続添加法による単分酸Co-HCFナノ粒子の合成とサイズ制御》単分散粒子のサイズ制御は,生成粒子数の制御を通して行うことが出来る。Co-HCFにおける「Coクエン酸錯体水溶液連続添加系」について,核生成理論に基づいて検討を行った。あるモル添加速度以上では,ナノ粒子の核生成理論に従い,生成粒子数が添加速度に対して直線的に増加した。一方,それ以下の添加速度では,粒子数が一定であった。これは低供給速度領域では,過飽和度が臨界値を超えるまでに長時間を要する一方で,核生成時間自体は非常に短いためであると考察された。 《Mn-HCF中空ナノ粒子の合成と生成過程の検討》クエン酸錯体貯蔵法の適用可能な金属イオン種の検討をする中で,Mn(II)を用いた場合に立方体中空粒子が生成することを見いだした。この現象について,合成方法・条件による粒子生成挙動観察やEDXによる組成分析,XANES測定による原子価測定を通して現象の解明を行った。
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